2018年のmusipl.comでの2月アクセス数上位10レビューはこちら!


 
1位 おかありな
『スカートの中』
 会いに行けるアイドルという言葉が持つ距離感は、アイドルに会いたい人たちに希望を与えたと同時にアイドルになりたいと願う人にも希望を与えたのだろうと思う。だがそんな会いに行けるアイドルたちが大きくなってしまったらまた会うのも大変になってしまうわけで、当然なるのはもっと難しくなるわけで、時折テレビに映る集団で踊っている姿を見ると「もう48人じゃないでしょそれ!」って、誰もが暗黙のうちに… (レビュアー:大島栄二)
 

 
2位 おかありな
『imadakekoibito』
 この曲はおかありなが嘘の無い心の内を吐露するような内容で、それ故にピュアだし、聴いててドキッとする。奏でられるギターの音がとてもクリアで、曲の舞台となる冬の朝の清々しさと、彼女の心の背景のような空間をよく現している。この感じは、前野健太の朴訥さにも似ていて、こういう正直に感じさせる罠のような世界観を好きな人たちはたくさんいるのではないだろうか。シンプルでチープなビデオも… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 東京スカパラダイスオーケストラ
『ちえのわ feat.峯田和伸』
 スカパラの場合、歌詞が谷中敦がほぼ担うことになるのだが、これは最初、峯田和伸が書いたのだとすっかり想っていた。それくらい何だか彼のこれまで、来歴と今の存在感にフィットしてきたからで、でも、彼の歌唱や立ち姿が“取り込んでしまう”のだとも感じた。そういう、スカパラなのだけど(スカパラらしくない)ブルーハーツ直系、初期のザ・ブームのようなパンクで峯田の色が強い曲で… (レビュアー:松浦 達
 

 
4位 TRIPLANE
『サクラのキセツ』
 偶然出会ったこの曲のYouTubeコメント欄に「TRIPLANEはもっと売れなきゃおかしい」と切実なファンの言葉があった。かつてワンピースのエンディングテーマに曲が起用されたというこのバンドは活動歴ももうすぐ16年と長い。だが僕は知らなかったよ。あまり知られていないバンドやシンガーを紹介するというこのサイトは本当に無名のライブハウス規模のバンドにばかり目を向けたがるが、メジャーだからといって1億人が… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 KAN
『50年後も』
 そんなKANが「明日の朝もしも僕が死んでいたら君はどうする?」と問いかける歌。そうかと思うと50年後のことに想いを馳せる。明日のありそうもない可能性と、50年後のあるかどうかわからない可能性を想ってみる男と、それを「変なことを言ってないで明日に備えて寝れば」とバッサリ斬る女。この対比がとても面白くて素敵で。両方が夢見てばっかりでも両方が現実ばっかりでもきっとダメなんだろうなあと思った… (レビュアー:大島栄二)
 

 
6位 長靴をはいた猫
『勿忘草』
 なんかスゴイなこの情念の固まりって感じの曲。シンプルな言葉が連なる歌詞の破壊力というか、こんなに想われるとちょっとキツいなという感じもあるが、じゃあ本気の好きっていうのは概ねこんな感じのはずで、そういう意味では情念の固まりというよりは、ピュアなLOVEとはこういうものなのかもしれない。そういうピュアな歌をどういう声と演奏がさらにピュアに聴かせるのかと考えていくと、こういう声と演奏に… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 羊文学
『Step』
 「今までのことは忘れておくれよ」という歌詞は、ボーカルの気怠い歌い方によって「今までの歌は忘れておくれよ」とも聞こえる。これは彼女たち羊文学が現在次のステップにチャレンジするために孵化しようとしていて、そのための過去の自分たちへの決別宣言のようにも感じられて、普通の歩幅というのはなかなか難しいものだなと溜息をつきたく… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 杏子
『愛ね、暗いね』
 ハスキーな声が耳に残る。この人の絞るような声が揺れつつもファルセットに切り替わる瞬間の、その切り替え方が好き。歌の内容がどうとかメロディがどうとか関係なく、このファルセットへの切り替えだけでずっと聴いていられる。というかずっと聴いていたい。似た声は時々耳にすることがあって、でもその声だけで生き残っていけないのか、それとも僕の記憶力がダメダメだからなのかはわからないけれども… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 TENDRE
『DRAMA』
 なんだろうこの聴いたことある感は。そう考えて考えて考えてみた結果、これは山下達郎なんだと思った。山下達郎が好きな人はもうこれを聴けばいいんだよ。いや、完全に暴論なんですけど。暴論を暴論と自覚した上でさらに言うなら、ホント、これは最近たくさんいるシティーポップとは一線を画していて、マジ山下達郎。TENDREの6曲入りEP『Red Focus』を聴けばその暴論はどんどん確信に変わっていくよ… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 Lucie,Too
『Lucky』
 ガールズ・ロック・バンドとして嫌みがないほどのストレートな抜け方と若さに満ちたサウンドで駆け抜けるChisa(Vo,Tg)、かなこ(Ba, Cho)、シバハラナホ(Dr, Cho)からなる3ピース。それぞれのバランスと不安定な良さがいい。どうにも根が拗れてしまわざるを得ない#METOOより、フィメールとしての佇まいを空気の中に活かし、歴史からのフィードバックの上で今現在と「あなた」について歌う衒いのない小気味よさ… (レビュアー:松浦 達
 

 
次点 坂口恭平
『休みの日』
 「徘徊タクシー」などの著作や、SNSでの目立った発言で知られる坂口恭平が、気がついたら歌を歌っていた。聴いてみた。なんてことは無い普通の歌だ。でもそのなんてこと無い普通の歌が意外にもとても新鮮に聴こえてきた。今人前で歌を歌う人がこんなにも普通の歌を普通に歌うということがあるだろうか。これは本来ミュージシャンでもない人が歌うからそうなるのかもしれない。そんな普通の歌は、世の中に流通しては… (レビュアー:大島栄二)
 

 
編集長コメント

1位 おかありな『スカートの中』:1月のマンスリーランキングで平井堅に破れて2位だったこの曲が1位に。先月の2位が悔しかったらしく、おかありなさんご本人とファンのみなさんで連日熱心にアクセスをしていただき、見事に1位に! 実は今回3位のスカパラ&峯田の曲が多くのアクセスを集め、2月もダメかなと思っていたところ、2月末にデイリーランキングでもランク外になって、これはいよいよ難しくなってきたかなというタイミングで奮起(?)して多くのアクセスが復活。実数でかなりの接戦だったところを逆転して1位に。素晴らしいことです。

2位 おかありな『imadakekoibito』:1月27日に公開されたので1月のランクではそこまで数が伸びなかったこの曲が2位に入って、おかありなさん見事にワンツー獲得です。パチパチパチ。新しいレビューの方が2位というのもちょっと面白いところ。個人的にはこの曲の方が内心に迫るようなテイストで好きだったりしますが。

3位 東京スカパラダイスオーケストラ『ちえのわ feat.峯田和伸』:松浦氏がレビューしてきて、ああ、峯田はスカパラとコラボしたのかと知りました。いや、スカパラが峯田とコラボ? まあどちらでも良いですが、こういう個性のぶつかり合いというのは、どっちの個性が表に出るかの勝負だと思いますね。昨今無名のアーチストが、自分をちょっとでも知ってもらうために有名曲をカバーしてYouTubeにアップするという活動が増えていますが、そういうので自分たちの個性を発揮できている人は実はほとんどいません。カバーじゃなくてコピー。自分の表現に特徴が無い人は本家のアーチストを真似することになってしまって、コピーになるわけです。しかしこのスカパラ×峯田のバトルは、個性のぶつかり合いという域を超えて、個性同士が融合してしまったという感じで、さすがだなあと思いました。あまりの個性同士なので、すべてのリスナーにおすすめということではないですけどね。

7位 羊文学『Step』:羊文学も個性あふれる新人アーチストですな。個性が有り余る人たちなだけに、そのまま出していくと方向性も定まらなかったりするのは常で、だから時折リセットしながら彼女たちの個性の柱を、今ちょうど打ち出しているところなのでしょう。そういう雰囲気が滲み出ている曲だと思います。その変遷の過程でそれまでのファンが去っていくことも少なくないと思いますが、そんなの気にせずにガンガン邁進していってもらえればと思います。頑張れ!

8位 杏子『愛ね、暗いね』:名古屋を拠点とするSSWの曲が8位にランクイン。これ、8位ですけども、2月のランキング上位をおかありなさんの2曲がファンたちの強力な後押しを得て大量アクセスを集めたものだったり、3位から5位までがメジャーの人たちだということを考えると、実質3位と言ってもいいのではないでしょうか(ちょっとそれは言い過ぎかもですが)。musiplのfacebookページでは杏子さんの記事にたくさんのアクセスが集まり、彼女のお母さんと思われる(違ってたらごめんなさい)方がシェアしたりなど、周囲に暖かく応援されているシンガーなんだなあと感心しました。身内にさえ「何やってんだか」と否定されてるバンドも少なくない中、まずは身内に愛されるということは、最初のステップで重要なことだよなと思ってるし、そのことを再確認した次第です。

10位 Lucie,Too『Lucky』:宇都宮のガールズバンドが10位にランクイン。20年くらい前に宇都宮のバンドのリリースをやってて、その関係で毎月のように宇都宮に行っていた懐かしい記憶を呼び起こされます。もちろんその頃とは街も変わっているでしょうし、当時担当していた男だけのバンドとは雰囲気も違うし、僕の記憶なんてまったくかすることもないんでしょうけれども。宇都宮は今も餃子が美味しいんでしょうかね。僕は正嗣のファンです。

 先月もそうでしたが、今月もアクセスが全体的に増えてきている様子。musiplもそろそろブレイクでしょうかw。いや、ブレイクとか関係なく、今後とも淡々とレビューを続けていくつもりです。もちろんブレイクして、ここで紹介されたアーチストが売れていくような後押しになれればいいんですけどね。

 というわけで、musipl頑張ってますので、皆さん今後ともよろしく。アーチストの皆さんは、
セルフレビュー】(自分でレビューを書いて投稿!)
ディスクレビュー】(あなたのCDを郵送で送れば、ディスクレビューいたします!)
広告出稿】(新譜発売やツアーなどの情報を宣伝しましょう!)
musipltune(配信)での配信開始】(音源をiTunesやSpotify配信で全世界に発信!)
musiplレーベルでのデビュー】(音源をCDプレスと全国流通で格安にリリースできます!)
といった。サービスを是非ともご活用ください!お待ちしております!

(大島栄二)