2015年のmusipl.comでの7月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 The SAMOS
『Monotony』
 ミクスチャーシーンの先駆者として知られるSBKのリーダーだったShigeoJDが中心となり、実弟Raymond(Key, DJ)、M.I.T.(MPC, Electro-Dr)の3人からなるThe SAMOS。The SAMOSは私の主催する 世界に誇れる日本のミュージシャンを紹介するWEB音楽番組「MUSIC SHARE」でも大プッシュしているバンドです。サウンドが洗練されているのはもちろんですが、媚びすぎず突き放しすぎずの絶妙な… (レビュアー:本田みちよ)
 

 
2位 稲垣淳一
『中年男のつぶやき〜会社編〜』
 週の初めから、月の初めから、こんな曲を聴くとみんな仕事に行きたくなくなってしまうのではないかという心配はあるのだけれど、そんなダークで憂鬱なテーマをポップでファンクで飄々と表現し、かといって過度に現実逃避で無理矢理な明るさなどに行くのではなく、リアルな感情の吐露として聴かせてくれるのは、稲垣淳一の非凡で奇才であることの証だろう。実際にサラリーマン生活ン十年という40代男が… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 未遂ドロップス
『おわったことさ』
 このボーカルのことを個性的とかいう言葉でくくるのは失礼であろうと思われる。刺がある。でも誰もに攻撃的な自爆装置的な何かではなくて、爪の左右にあるササクレのような、言い換えるなら逆睫毛のような、そんな刺が自分の内に向いている。その結果、ヤサグレている。そんな状態を個性的と呼ぶべきか、呼ぶべきか。いや、たぶんそれはやはり個性的と呼ぶのだろう。ササクレが内に向いて世をはかなんで… (レビュアー:大島栄二)
 

 
4位 私の思い出
『荒野のネッカチーフ』
 このアホさ加減は一体なんだろうか。キライではない。キライなんかではない。いや、好きだ。かなり好きだ。とっても好きだ。愛や恋や世の中の矛盾を歌うという行為には誰も後ろ指を指すことの出来ない正当性みたいなものがみなぎっていて、だからなんか優等生的で、いいんだけれども、いいんだけれども。このバンドのこの曲はそういう優等生的な何かとはカウンターカルチャーのような、何故それを真面目にやる必要が… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 THE リマインズ
『アイラブユー』
 音楽は時代とともに当然のように変化して、だから昔のヒットソングは久しぶりに聴けば驚くほど野暮ったく聴こえてしまう。このバンドが歌うこのラブソングはそうした古い時代のポップチューンのような構造を持っていて、だから歳をとってから聴くと恥ずかしくなってくるような甘ったるい気分になってしまう。だからこの曲がダメなのかというとそうではなく、今の時代にリアルに作られるラブソングにはやはり… (レビュアー:大島栄二)
 

 
6位 最終少女ひかさ
『商業音楽』
 本気のバンドマンにとって、「金と時間もらって俺達はここに立ってる」の言葉がすべてじゃないでしょうか。最近は音楽にお金を使わないことが普通になってきたというニュースを最近よく目にしますが、そういう中でもやはりお金を使ってライブに来てくれたりCDを買ってくれたりする人が少なからずいて、そういう人の前で趣味でやってるのはやはり不誠実だと思うのです。「趣味の音楽でも良いモノは良い」なんて… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 やまも
『ホームタウンホリデー』
 インストバンドはここ数年ものすごく増えてきた印象で、歌もの好きな人にとっては「歌が無いなんてただのBGMじゃないか!」という意見もあろう。だからなのかそうではないのか、インストバンドの多くが過激なサウンドを主戦場として創造と表現の闘いに挑んでいるようにも見受けられる。ハードコアだったりスクリーモ的なサウンドに乗っている歌が本当に歌なのか、それさえもノイズの一種なのではないかという… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 台風クラブ
『処暑』
 のんきである。この人たちはどうしてこんなにのんきな音楽が奏でられるのだろう。それは初期衝動のままの音楽を奏でているからに他ならないのだろうが、じゃあその初期衝動を心に持つ時のその初期に於ける若者の状況というものが、現代と30年前ではずいぶんと様変わりしてしまっていて、どうも窮屈な暮らしをしてしまって、させてしまっているのではないだろうかということを、こんなのんきな音楽を… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 Primula
『Aquarius』
 『My 1st Time EP』がiTunes エレクトロニックチャートで 1 位を記録した エレクトロニカシーンの異端児・Primula(プリムラ)さん。夏になったらPrimulaさんのレビューを書こうと前から決めていたのですが、遂にそういう季節になりましたのでご紹介します!なんで夏に紹介したかったかというと、夏ってなんというか、露出も多くなるせいか、恥ずかしさが半減するじゃないですか。そう、つまり率直に言うと… (レビュアー:本田みちよ)
 

 
10位 17歳とベルリンの壁
『終日』
 シューゲイザーと言われるとちょっと身構えてしまうのは旧い世代の悪いくせだろう。だがノイズとポップの融合という初期の定義の中、よりこだわった新しい音楽をアーチストたちが競って追い求めた結果、実はポップそのものからはかけ離れる傾向を持つことになり、一部マニアの人だけが共感したものの、普通の人たちを置き去りにしていったのが、シューゲイザーが最初のブームを一過性のもので終わらせた原因だった… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 FIDLAR
『40oz. On Repeat』
 あれ、ボーカルの顔、全然違う、というか、なんなんだ、そのきついアイラインは、と初見時に唖然としていたら、どうやら過去のミュージシャンのPVを次から次へとパロディする、という趣旨らしい。セットから衣装やメイクまで、手作り感、工作感満載で、その内容はあまりにもバカバカしい。繰り返すが、あまりにも、バカバカしい。その「バカさ」は突き抜けていて、お下品でありつつも…  (レビュアー:夜鍋太郎)
 

 
編集長コメント

1位 The SAMOS『Monotony』:先月のアクセスランキング2位だったこの曲が今月の1位に。レビューしたのが6月29日で、そこから初速のアクセスで2位に入ったのですが、月が変わってもアクセスが続き、堂々の1位。注目が集まっているということなのでしょう。素晴らしい!

2位 稲垣淳一『中年男のつぶやき〜会社編〜』:こちらは先月のアクセスランキング第1位の曲。何故か先月レビューのものが続きます。こちらはというと「会社に行きたくないソング」として定着しはじめたのか、月曜日になるとアクセスが増えるという不思議な現象を起こしています。来月ももしかするとランクインするのでしょうか。そんなにみなさん会社に行きたくないのでしょうか??

3位 未遂ドロップス『おわったことさ』:カッコいい曲でした。カッコいいバンドでした。心の奥の情念を絞り出すような未遂ドロップスのレビューが3位にランクイン。こういう曲がもっともっと聴かれるといいなと思います。

4位 私の思い出『荒野のネッカチーフ』:おバカで楽しい楽曲が4位に。2位の『中年男のつぶやき』もおバカといえばおバカなのですが、あちらの切実でシニカルなおバカと違い、こちらは底抜けのおバカ。こういう表現を徹底できるクリエイターは貴重だと思います。

5位 THE リマインズ『アイラブユー』:シンプルなポップロックを聴かせてくれるバンドのレビューが5位に。若干メロコア的な曲が多かった彼らがいろいろな何かを削ぎ落とし、こうしてシンプルなポップロックに行き着いたというのは自然であり頼もしいと感じました。メンバーが脱退することになっても、まだまだ活動はやめるわけにはいかないそうです。頑張って欲しいです。

次点 FIDLAR『40oz. On Repeat』:懐かしの名ミュージックビデオを再現するような面白ビデオが好評でした。個人的にはブリトニースピアーズの『Baby One More Time』のヤツがウケました。懐かしいなーって、まあそれはどのシーンもそうなんですけどね。。

 昨年7月からずっとアクセスランクインし続けていたケリーマフ『イカサマ』が遂に圏外に。残念ですけど、また新しい曲でランクインを目指してもらいたいものです。
 今年の夏は本当に暑いですね。暑いを通り越して熱いレベルだと思います。みなさんも熱中症には注意してお過ごしください。

(大島栄二)