2015年のmusipl.comでの1月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 Massan × Bashiry
『春夏冬』
 ボーカルラッパーのマッサン、ギターのヴァシリーの二人組。ちょっとなに唄ってるかわかんないんだけど、分かる、これこそがグルーヴ! 思考でなく、今ここで湧き出している様なフロウ。2014年のTHE MANZAIで優勝した博多華丸大吉が「本当に面白い人たちは劇場にいます」っていうコメントを残し、芸人たちからも「さすが大吉さん」と尊敬されていた。劇場には電波にはのせられない面白さもあるし、牧場には… (レビュアー:北沢東京)
 

 
2位 あららら
『さよならせかい』
 カワイイ。あらららという脱力感溢れる名前のバンドが贈るMVはボーカルのぽんぽこたろーが体育館(?)を駆け巡る中で次々といろいろなステージを見せてくれる。最後の演奏シーンだけで十分に楽しめるはずなのに、あえてこういうビデオを作って楽しませてくれる。しばらく前にOK Goの新作をレビューしたが、そこで「出来る範囲の出来そうもないことにトライして実現していく積み重ね」ということに言及したが… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 NakamuraEmi
『YAMABIKO』
 ちょっと挫けそうになっている全ての人に聴かせたい。甘えの道を選びそうになる自分に聴かせたい。どんな道でも自分を信じて進めばいいし、他人の何かと比較などせず昨日の自分と較べて進む。そんな強さが当たり前に歌われることの何と力強いことか。HIP HOPと呼べば良いのか。それともポップな歌と呼べば良いのか。いや多分そういう既存の何かではなく彼女だけが持っている何かをただ追求している結果の音なのだろう… (レビュアー:大島栄二)
 

 
4位 松本佳奈
『Strings』
 澄んだ太い声。太いのに、澄んでいる。こういう声の歌手は以前は多かったように思うのだが、最近はあまり耳にしない。あまりのオーソドックスさに歌が原点回帰したかのような新鮮さを感じる。いや、個人的な感想に過ぎないのだが。このオーソドックスな歌声で綴られる世界は、単に嬉しいとか悲しいとか、愛だの恋だのとか、少年少女のピュアな世界のものではなく、一度深い哀しみに触れて世界を見回し… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 サザンオールスターズ
『ピースとハイライト』
 今、あえて不謹慎なことを云うのは、不謹慎だとそれを認識(または、誤認)している人たち以外の網に届くのではないか、との思いとともに、2014年の大晦日の紅白歌合戦でギリギリの交渉だったのだろう、急遽、サザンオールスターズのライヴが入った。直接的には東京五輪に向けてではないにしろ、ポジティヴなヴァイヴに溢れる「東京VICTORY」だけではなく、「ピースとハイライト」という再復帰曲とともに。… (レビュアー:松浦 達)
 

 
6位 米津玄師
『Flowerwall』
 “ハチ”名義のボカロ曲での人気、膨大な再生数といった冠詞と、多数の大きなメディアで取り上げられ、満を持して、本名として活動を始めたときには、彼の持つ特有のヴィジュアル・センスやポップネス、どこかジャンクで退廃的なところまで精巧がゆえに、距離を持っていたところがあった。ただ、ストリングスが大胆に取り入れられた2013年のシングル「サンタマリア」辺りで、個人的に表現者としての危うさを… (レビュアー:松浦 達)
 

 
7位 ケリーマフ
『イカサマ』
 コワい。いや、カッコいい。このシャウトの仕方が、本当にシャウトというか、吠えているというか、悪態をついているというか、かなり独特で耳からなかなか離れてくれそうもない。これだけ吠えまくりなのにしっかりと音楽になっていて、とても面白い。ロックバンドの人は楽譜なんて読めなくて当たり前とか、いやいや楽譜も読めなくて音楽が出来るかとか、もはやそんな論争など意味不明なくらいに… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 Bentham
『パブリック』
 街の中を多くの人が歩く中をハイスピードで再生する中で演奏をする4人。技術的には現場でかなり遅い速度で演奏をして、あとで数倍速再生ということなのだろうが、そういうことを忘れて単純に映像を見ていると、バンドマンというのは普通の人が急いで生きているスピードに逆らって疑問を呈する存在なのかもしれないという気がする。オイオイそんなに急いでどうすんのと。別にバンドをやっていなくても… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 阿部真央
『いつの日も』
 阿部真央は2009年のアルバム『ふりぃ』でデビューし、その荒っぽいサウンドとシャウトにはメジャーのやり方への彼女の激しい抵抗を感じたが、同時にキャニオンがよくこれを許したなと思うような小気味よさがあって、CDショップで数曲試聴した直後にレジに向かったことを今もよく覚えている。そのままでは単なる反抗する自我のままで終わるだろうなとも思ったのだが、セカンドの『ポっぷ』で見事な脱皮を見せた… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 BUCK-TICK
『惡の華』
 BUCK-TICKは僕がビクターレコードに入った年の看板アーチスト。ロックバンドブームが巻き起こっていたまさにど真ん中の頃のバンド。それが平成元年なのでもう26年。無論インディーズ時代もあり、来年には結成30年を迎える。映像を見ても判るが、解散して再結成したようなバンドとは明らかに違う最先端現役の迫力を持っている。浮き沈みは多少あろうが、この年末にも恒例の武道館公演を実施する。バンドが… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 中納良恵
『濡れない雨』
 EGO-WRAPPIN'を知ったのは、多分に漏れず、FM、有線を中心にロング・ヒットした「色彩のブルース」だった。その頃は、クレイジーケン・バンドなどと含め、昭和歌謡リバイヴァルみたいな特集、カテゴライズも多く、00年前後は90年代のJ-POPのどことなくまだ狂騒的な余韻を引きずってシーンに対して何らかのカウンター性や再定義的な流れが混在していたように思える。また、「くちばしにチェリー」と… (レビュアー:松浦 達)
 

 
編集長コメント

1位 Massan × Bashiry『春夏冬』:北沢東京さん紹介のアーチストが堂々1位にランクイン。独自のアンテナで音楽を紹介してくれる北沢東京さんによると好きな曲の動画がアップされてなくて紹介を断念することも多いとか。このレビュー本文でもPVとライブ動画のどちらを紹介すべきか迷った的なことを書いてあって、本当に届く音楽は作り込まれたPVではなくて、簡単に撮影された動画の方にある場合も多いのだと思います。それにしたっていくつかのカメラをセッティングして撮影して編集する作業は、PVを制作するのに等しい労力がかかることも多いにあるんですけどね。レビューの中で触れられていた彼らのPV『Timely』はこちらです。リンクを貼っておきます。

2位 あららら『さよならせかい』:昨年11月紹介のあらららが先月に引き続き2位にランクイン。根強いファンの応援があるのですね。この可愛らしさは僕も大好きですし、支持されるのも当然だと思います。すごく売れて欲しいと思います。

3位 NakamuraEmi『YAMABIKO』:もうちょっとカッコいいじゃありませんか。この決意というか潔さというか、音楽の世界だけじゃなく全ての人の人生に必要な姿勢が100%表現されていると思う、そんな強さに溢れた曲です。シンプルに、ステキ。多くの人に聴いてもらいたいです。

4位 松本佳奈『Strings』:木更津のジャックナイフこと松本佳奈さんのことは、知り合いがファンだそうでTwitterでこまめに紹介していたので知りました。で、聴いたらいいじゃありませんか。そういう偶然の出会いって音楽にはあっていいし、このmusipl.comもみなさんのそういう新しい出会いにつながる場になれればと願っているところです。

5位 サザンオールスターズ『ピースとハイライト』:昨年末の紅白でのパフォーマンス以来少しばかり騒動になっていたこの曲。レビュアーの松浦さんが書いてくれました。通常のレビューでの文量を遥かに超えたボリュームで伝えたかったことは、読んでくださった人がそれぞれに噛み砕いて心のどこかにスーッと定着させてもらえればと思います。それにしても、あれだけ騒動になったことも、大きな事件があったとはいえ、もはや誰も語っていなかったりして。じゃああれは一体なんだったんだろうと不思議な気持ちにもなります。

 musipl.comでは、基本的に勝手にレビューしているので、レビュー記事が公開されたということさえアーチストに伝えてはいません。なのでまったく気がつかずに終わっている人も多いでしょうし、一方でご自身で気づいてリツイートしてくれるケースも少なくありません。アーチスト自身のTwitterには当然ファンの方のフォローがあるでしょうし、そこからアクセス数も増えてくるみたいです。今回のアクセスランキング上位のアーチストは、みなさんご自身で気づいてリツイートしてくれてますし、アカウント宛てにお礼のリプライをくださったりしていただきました。別にそういった感謝の言葉が欲しくてやっているのではないけれども、言葉をもらえるとやはり嬉しかったりするのも事実。ウチに対してだけではなく、関わる人たちを嬉しくさせることができるアーチストは伸びていくのだろうと思います。そして伸びていってもらいたいと切に願うのです。

 1月から、新しいレビュアーさんに参加してもらうことになりました。夜鍋太郎さんといいます。洋楽に詳しいそうです。今のところ毎週水曜日に1本ずつレビューを投稿していただくことになっています。レビューの幅が広がるのではと期待しています。お楽しみに。

(大島栄二)