サザンオールスターズ『ピースとハイライト』
THE BLUE HEARTS『人にやさしく』
Bentham
『パブリック』
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街の中を多くの人が歩く中をハイスピードで再生する中で演奏をする4人。技術的には現場でかなり遅い速度で演奏をして、あとで数倍速再生ということなのだろうが、そういうことを忘れて単純に映像を見ていると、バンドマンというのは普通の人が急いで生きているスピードに逆らって疑問を呈する存在なのかもしれないという気がする。オイオイそんなに急いでどうすんのと。別にバンドをやっていなくても、「社会人」として要求されるスピードについていけずに生き苦しさを感じている人は多く、そういう人に「急がなくても、街の中で堂々としてていいんだよ」というメッセージは、きっと届くのではないだろうか。撮影現場ではこんな街の中でドラムまで出してきてジャマだなお前らという視線を感じただろうが、通行する側からすれば、都会の雑踏で起こっている非日常等にいちいち関わっているヒマもなく、とにかく通り過ぎるだけで気にも留めないというのが本音だったと思う。気にするのが仕事である唯一の存在は横断歩道の向う側の交番に詰めてはいるものの、群衆の陰になってバンドマンのことなど見えもしなかったのかもしれない。要するに、バンドが懸命に存在をアピールするも誰からも見えてはいなくて。で、通行する人のためにメンバーが演奏しながらもよけて道を開けている姿も見え、微笑ましく哀しい。歌詞の中で繰り返される「どうやって君の事振り向かせたらイイの?」という問いかけのひとつの答えがこの映像なのかもしれないし、「見て見ぬフリする怪獣が目を凝らす」というのが通行人の態度なのかもしれないと、ふと思った。
(2015.1.23)
(レビュアー:大島栄二)
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