2014年のmusipl.comでの4月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 STAYCOOL
『Through the Viewfinder』
 STAYCOOLというある種、ストレートなバンド名と比して、彼らは老成から始まっている。兵役を終えて、社会人としての20代半ばのメンバーたちが集まり、紡ぎ出した音楽は台湾という場を越えて、涼やかな感触をもたらせた。2013年には、日本デビュー盤として『Urban Canyon』がリリースされたのもあり、存在は日本国内でも認知され始めた。また、シティ・ポップを軸にスイートなポップを届けながら、メンバー… (レビュアー:松浦 達)
 

 
2位 OGRE YOU ASSHOLE
『Rope』
 原曲の骨組みだけを残し、アンコールはせず、曲の中に多くの意味を込め、惜しくも2010年3月に解散してしまったゆらゆら帝国というバンドは、後期になるほどにライヴにおけるインプロヴィゼーション、ジャム・セッションの余白が凄まじくなっていた。たとえば、「ミーのカー」という曲を30分ほどやる中での陶酔。近年で、似て非なる体験をしたのはOGRE YOU ASSHOLEのライヴだった。グレイトフル・デッド… (レビュアー:松浦 達)
 

 
3位 サイプレス上野とロベルト吉野
『サ上とロ吉~LIVE GOES ON』
 ヒップホップは何も持っていない者が何かを掴み取る過程で、コール&レスポンスを喚起するラップは客とで完成させる音楽だ。演奏してる姿とか歌唱力とか無い「声を叫ぶだけの音楽」で、お前たちの聴いている俺らの音楽は最高なのだ、と思わせる手段の一つが共犯関係。フェス会場で自分たちよりメジャーのUAの演ってる後方ステージへ向かって「サ上とロ吉」コールのメイクノイズ!妨害目的じゃないので上がった… (レビュアー:北沢東京)
 

 
4位 おぐまゆき
『路地裏の僕』
 情念という言葉でしょうか、この歌を表すのに適するのは。でもそれでは足りないような気がします。「僕を愛して」という言葉と「僕をすてないで」という言葉が交互に入り交じりながら叫ばれる。聴いていて、男女の関係だけではなく親と子の関係が歌われているような錯覚に陥りました。追いつめられた状況の心は、時として最低限の振る舞いをさえ最大の愛情と思い込む。それは不幸なことなのでしょうか。否… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 最終少女ひかさ
『商業音楽』
 本気のバンドマンにとって、「金と時間もらって俺達はここに立ってる」の言葉がすべてじゃないでしょうか。最近は音楽にお金を使わないことが普通になってきたというニュースを最近よく目にしますが、そういう中でもやはりお金を使ってライブに来てくれたりCDを買ってくれたりする人が少なからずいて、そういう人の前で趣味でやってるのはやはり不誠実だと思うのです。「趣味の音楽でも良いモノは良い」なんて言葉は… (レビュアー:大島栄二)
 

 
6位 The Goggles
『PleaseFreezeMe』
 日本のリバプール(?)福岡で、ビー○ルズのパロディソングだけを作るという噂のバンド、ザ・ゴーグルズ最新アルバムに収録のこの曲。聴いてしまったらもう他の曲も聴いてみたくて仕方なくなります。「前世はアザラシ、その前はたしか扇風機」って歌詞もイケてるし、演奏はまさに一級品。素人による思いつきのお笑いソングではなく、プロフェッショナルがきっちりと創り上げたからのクオリティなのでしょう… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 植田章敬
『Pink』
 爽やか。シティポップスといって間違いないサウンドが岡山県のアーチスト植田章敬から届けられます。岡山というのはどういう街なのでしょうか?シティなのかシティではないのか。そもそもシティとは何なのか。僕が暮らす京都はシティなのか、東京規模でなければシティとは呼べないのか。そんなことをいくら考えてみても明確な答などは見つかるはずもなく、でもこの曲を聴いたらシティの風が吹いてくるなと… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 Imperial Tiger Orchestra
『Le le le』
 2014年を巡っての日本周辺、その他国の情勢は決して良い矢印を向いている状況とは言えない。だからでもないが、愉しい音楽でアップリフティングされるのもいいのではないか、と率直に思う。束の間に攫われるエスケーピズムの背景には、いびつなメディア漬けにされたペシミスティックなニュース群が、リアリティを矮小化させるわけだから。このスイスをベースにした6人組の奏でるジャム・セッションのようで… (レビュアー:松浦 達)
 

 
9位 ポスポス大谷
『小さな大予言』
 モンゴルやらトゥバやらの現地語で唄われる「ボエー」という民謡のCDを聞く事はあっても、意味のわかる日本語を使って宇宙や惑星、引力の事象を読込むホーメイは新鮮だった。 アコーディオン弾き語りのライブを見たのが先でCDを買った。アコーディオンという楽器は空気を吹き出しながら音を出すので、肺から長い息を吐くノド歌との相性はベストマッチ。接弦楽器の馬頭琴よりも合うのかもしれない… (レビュアー:北沢東京)
 

 
10位 Nao Yoshioka
『Somebody else's Guy』
 かのNYのソウルの殿堂ともいえるアポロ・シアターにおけるアマチュア・ナイトで準優勝し、世界各地でのライヴの評価も高く、既に世界的に彼女のパワフルな歌声には注視が集まっているが、日本でも本格的にこれからじわじわと拡がってゆく存在だと思う。ゴスペル、ソウル、R&Bという解釈が海外では宗教的与件やスピリチュアルな何かと接続される傾向がある中、まだ、日本では一種の様式美としての部分があるのは… (レビュアー:松浦 達)
 

 
次点 禁断の多数決
『トゥナイト、トゥナイト』
 単純で心地良いサビの「トゥナイ〜トゥナイ〜♪」が繰り返されたら、もったいぶる起伏や過剰な足し算なんかいらない。そんな中でも配信限定版では小林克也のタイトルコール。何このファンキーフライデー!!自作品に対するサービス精神。惚れる〜!ってハイタッチ満々の時に「細密な計算して曲作ったし、歌詞も相当悩んで書いたんだ」みたいな制作裏話しとかね、仮にね仮にあったとしても聞きたくないよん… (レビュアー:北沢東京)
 

 
編集長コメント

 1位、STAYCOOL。台湾のバンドがいきなりトップ。musiplの混沌としながらもいい音楽を紹介しているというのがいい感じで結果に現れたという感じですかね。実際にとてもポップでいいですし、まだの人は是非聴いてください。
 3位、サイプレス上野とロベルト吉野。これ2月のレビューが何故か4月にランクイン。2月のランクにも入ってなかったのに4月には3位。なぜかというと、Twitterで「過去レビュー」として紹介したところ、サイプレス上野さんご自身がリツイートしたことで一気にアクセスが増えたのです。アーチスト本人がレビューを拡散した場合、やはりアクセスは増えるものです。
 5位、最終少女ひかさ。これから天下取ってやるぞって勢いを感じるバンド。とてもユニークな曲ながらも、本音がビシビシ伝わってくる。こういうバンドがいる限り、音楽業界の明日も暗くなんてないぞって気がします。
 6位、The Goggles。福岡で活動するユニークなバンド。聴くとついついニヤリとしちゃいます。彼らのプロデュースを担当しているホッピー神山さんからはmusipl.comへのメッセージもいただき、大変感謝しています。
 9位、ポスポス大谷。これはまた特殊な音楽で、売れるとか売れないとかいう尺度では測れない存在だと思います。こういう音楽に取り組んでいる人がいて、それを見ている人がいて、ランキングにも入ってきてて、ジャニーズとAKBとEXILEだけしか出てこないというオリコンだけを見て音楽がつまらないなんて言ってるのは勿体無いですね。レビュアーの北沢東京さんはこういう音楽へもアンテナがしっかりと向けられていて、敵に回したくない人だなあ(?)と思います。
 musiplのアクセスは毎月どんどん増えているものの、まだまだ満足出来るほどではありません。ということは、アーチスト自身が「こんなレビューされとる!」って拡散したもの勝ちという傾向はあります。無名でも、4位おぐまゆきや5位最終少女ひかさなどはそういうことなんじゃないでしょうか。musiplのランキング上位に入ることがそんなに大きなことではないかもしれないけれど、まあせっかくだから拡散して上位にランキングされても悪くないんじゃないでしょうかね。

 あと、記事やメッセージなども増えてきて、そういうのがアクセス数を稼いでもいるのですが、このランキングではレビューのランキングということです。念のため。

(大島栄二)