編集長 大島インタビュー、第2弾!

『音楽シーンの今と、musiplのこれから』

  編集スタッフM子が、編集長である大島に、musiplに関する疑問をぶつけていくインタビュー・シリーズ。第2弾では、停滞する現在の音楽シーンの状況を、大島がどう考えているのか、そしてその中で、musiplがどんな役割を果たしていくのかを聞く。壮大な計画の一部分も明らかに!?  

音楽CDは、本当に売れていないのか?

MusicPlus編集部M子(以下「M子」):最近は音楽業界全体が不振だと言われていますよね。この状況については、どう思いますか?

大島(以下「大」):確かに元気がないように見えるね。でも、よく言われている「CDが売れない」というのは違うと思うんだよね。

M子:え、どういうことですか? 数年前から、CDショップが閉店というニュースばかり耳にしますよ?

大:確かにCDショップは苦しいはず。でもその最大の原因は、amazonの急激な躍進でCDの売り上げを奪われてしまっていることだと思うよ。今の人には、足を運んでCDショップで知らない音楽を発見するという楽しみよりも、自宅でクリックすればすぐ買えるamazonの手軽さの方が受けている。それは、ショップが楽しさを提供出来ていないということの裏返しでもあるかもしれない。

M子:でもamazonなどのネットでの売り上げを含めて、CDは売れていないんじゃないんですか? インディーズはもちろん、最近はメジャーでもめったにミリオンヒットが出ない状況ですよね。AKBは例外ですが。

大:たしかに、メジャー・インディー含めたレコード会社からリリースされているCDは以前ほど売れてないよね。でも、amazonでも売られていないアマチュアバンドの自主制作のCDも含めればどうだろう?

M子:流通に乗っていないもの、チャートなどの統計には入ってこないものも含めれば、意外と売れてるってことですか?

大:そう。CDや音楽そのものが売れてないのではなくて、単に買い手、つまりリスナーの選択肢の幅が、昔より広がったってことだと思うよ。
 背景には、アーチスト側の状況の変化がある。80年代までは、アマチュアはCDなど出せなかったし、ネットもなかったから発表の機会がなかった。そういう状況では、リスナーはメジャーレーベルから出ているCDの中からしか音楽を選ぶことができなかった。だから、オリコンのチャート上位の曲に集中して、1タイトルあたりの売上枚数も伸びる。100万枚という数字も普通だった。
 それが90年代末以降、ブームもあって、インディーズのシーンが活発になってきた。一口にインディーズと言っても、レーベルからCDを出すアーチストもいれば、自分たちでCD-Rを売るアマチュアバンドも大勢いる。遠くの有名アーチストもいいけど、身近な友人のバンドがCDを出せば、それはリスナーの有力な選択肢になるよね。インディーズのCDを買う人はここ十数年でかなり増えたはず。
 結果、有名アーチストのシェアはどんどん失われ、売上枚数の山が低くなってきた。それが「音楽が売れない」という印象につながってるわけだけれど、実際は山の裾野が広くなっただけの話で、CDの総売上枚数はそれほど変わっていないんじゃないか、と僕は考えているんです。

M子:もしその通りなら、メディアで言われるほど人々の音楽離れが進んでいるわけじゃないってことですよね。ちょっと安心しました〜。


 
大島栄二:Music Plusレビュアー兼編集長。創業24年目のインディーズレーベル「キラキラレコード」プロデューサー。
M子:Music Plus編集スタッフ。キラキラレコード制作担当(ディレクター見習い)。大島のレーベルのスタッフとして働いていたところ、musiplの編集にも動員される。
 

必要なのは、時代に合った新しいキュレーション機能

 

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