【ガリザベン】
切ないという感情はなんなんだろうと、切なくなった時に考えます。でもいくら考えても正解など見つからず、また理由もなくあるシチュエーションになった時に切ないなあと考えたりするだけです。考えるだけでも答えが出ないことを歌にしてこれほどまで切なさを具現化するガリザベンという人は、天才かなあと思ったりします。もちろん人それぞれ自分なりの天才を心に持っていて、それは別にエジソンやアインシュタインなんかでなくても良くて、こういう人知れない歌に天才を感じることも、自由な社会では許されていることだと思うのです。ガリザベンはバイセーシというバンドでベーシストをやっていて、個人的には自分のソロ活動に徹した方がいいんじゃないかと思いますが、天才には天才の考え方があるのでしょう。1st.CDがライブ会場限定発売になっていて、そんなところももったいないなあともどかしく切ない気持ちになったりします。
ガリザベン『仏像ワンルーム』
【最終少女ひかさ】
最終少女ひかさ、最近ちょっと名前を聞くようになってきましたね。レビューをした約1年2ヶ月前の『商業音楽』がバンドマンの覚悟を歌った名曲だとして大絶賛してたのがもう遠い昔のようです。今はタワレコ限定CDリリースとかしてて、それが元々の歌とタイトルが変わってたり、ボーカルの但野くんのTwitterアカウントが消えてたり、ちょっとおかしい。なにか強力なスタッフが絡んだのかという気もしています。そういうのを「初心を忘れた」などと言って非難するのはまったく見当外れで、まさに商業音楽で示した覚悟のようなものが、どん欲に突き進んだ場合の当然の結果なのであって、突き進めるだけ突き進んでいってもらいたいと心から願います。その過程で魂なんてどれだけ売り渡して売りさばいても構わないけど、エラそうな業界人の言いなりの繰り人形にだけはならないよう、自分にとって大切な根っこのようなものだけはちゃんと見失わないように気をつけてください。それさえ出来れば、今回の9組の中では一番売れる可能性が高いバンドだと思います、ホント。
最終少女ひかさ『いぎありわっしょい』
【絶望ルーシー】
musiplでも何度かインタビューをして記事にもなった高校生バンド絶望ルーシーもこの春に卒業し、高校生という肩書きが外れた「バンド」として再スタートを切りました。というか、卒業と同時にメンバー脱退があり、一時活動停止状態に追い込まれてしまっていたのですけれど、8月には復帰という予定を口にしていて、そうしたら遂に7月には東京で復活という話になってました。なんにせよ、早い活動再始動おめでとう。もう高校生バンドというある種の特典はなくなって、だから単に世の中への不満をぶつけてれば良いということでもないでしょう。けれども、19歳になり20歳になり25歳になり30歳40歳になった元若者が「自分はどうしてこんなふうになっちゃったんだろう」って悔しがるくらいの真っ当さで、青臭い正義をぶちかまし続けて、その青臭さで世界を変えていってもらいたいものです、ホント。あと、彼らのツイートによれば、絶望ルーシーの絶望は「望みが絶たれた」絶望ではなく、「絶対の希望」の絶望らしいです。ステキですね。
絶望ルーシー『希望の丘』
