2017年のmusipl.comでの12月アクセス数上位10レビューはこちら!


 
1位 のん
『スーパーヒーローになりたい』
 驚いたというか感心したというか、歌っても能年礼奈は能年礼奈なんだな(いや、のんですけど)ということ。歌声に訛りがある。彼女を知ったのは岩手出身の役のドラマで(多分みんなもそうでしょう)、本人は兵庫出身なのに岩手の言葉がこの人の言葉だと思うくらいに訛った演技がしっくりときてて。でも歌ったら別に岩手の方言関係ないでしょうと思うんだけれども、それでも訛ってる。そうなると、この人の… (レビュアー:大島栄二)
 

 
2位 GRAND FAMILY ORCHESTRA
『ユリーカ』
 この声は喉のどこを通って音になっているんだろう。最近はそんなことを考えてしまうボーカリストが多いように感じている。このバンドのボーカル松山晃太もそんなひとりだ。傾向としてはT.M.Revolution西川貴教の声に近い。かすれ系というか、喉の中心からは外れたところを通って声になっているようなボーカルの場合、並程度の力しかなければ単にヘタといわれておしまいなのだが、声量を含めて力を持っていればユニークな… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 高野寛
『dog year good year』
 高野寛のデビュー当時はまさにツルッツルのスベッスベという感じで、洗練されたポップサウンドにはお育ちのいい人の育ちのいい音楽は違うなと、彼の経歴などまったく知らないくせに先入観で思っていた。CUEというアルバムはデビューから2年後の3rdアルバムで、昨今の音楽シーン事情からすればずいぶん悠長なことだなあと思うが、3枚目にしてようやくオリコンの上位を占めるようになった彼の、やはり代表作といって… (レビュアー:大島栄二)
 

 
4位 ゆいにしお
『タッチミー』
 英語の発音がイイのかそれとも単に舌足らずなのか、それはよくわからないんだけれども結果的にとても耳に心地良い。曲としては実にシンプルで、ただ「タッチミー」を繰り返すこの曲が単調に聴こえたり飽きたりしないのは、言葉とリズムの響きとボーカルの存在感がちょうど良くて耳に馴染むからだろう。70年代から80年代のポップにもこういうのあったよなと思うけれどもそれが何なのかは思い出せない… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 シュノーケル
『いいじゃん』
 肩の力がまったく抜けた感じのポジティブメッセージソング。だと思う。登場するバンドメンバーがことごとく普通のおにーちゃんで、それが嬉しそうに楽しそうに楽器を鳴らして歌を歌ってて、こういうのホントに好感持てる。ただ、このシュノーケルというバンドは元々こんなじゃなかったような気がする。わりとシリアスでマジに歌い上げるタイプのバンド、だったと思う。でもこの曲では何かが吹っ切れたかのような等身大の… (レビュアー:大島栄二)
 

 
6位 secondrate
『回想電車』
 普通に泣く。泣くよな。別れることになった彼女を駅まで送っていってそこでお別れで、別れを惜しみ哀しむ男の側の歌。なんでこんなことになったんだろうと苦しい胸の内を吐露する男。でも歌詞をよく読むとこんなことになったのは男の側の優柔不断というか、自分勝手なポイントがそこここに滲み出ている。2番では同じ別れのシーンを女性の側から歌っていて、そこに溢れる未練を断ち切る強い意思。この違いは一体… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 J Hus
『Did You See』
 個人的に本年最後のレビュー。ということで、私の2017年度ベストソングを扱わせていただきたい。Calvin Harrisの「Feels」やDua Lipaの「New Rules」、以前レビューしたThe xxの「On Hold」あたりと迷ったが(挙げ出したらきりがないが)、今年はこれで締めたい。最初に聴いたとき、イントロ、それも冒頭の音から、もう泣きそうになった。ぐっと心をわしづかみされた。辻仁成ならこの出会いを… (レビュアー:夜鍋太郎)
 

 
8位 白い朝に咲く
『日々の泡』
 切り裂くような声。こういう声は、自我がやむにやまれず噴火のように表面に出ていく、その時の勢いのようなものを積み重ねるなかで形成されていく声なのだろうと思う。内面を表に出さず抱え込む人には獲得できない、ましてやたいした内面を持たない人であれば絶対に到達することのない声、なのだろうと思う。それは声に限った話ではなく、サウンドも同じことで。こういうバンドと一緒に仕事をするのはきっと… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 高中正義
『Eary Bird』
 やっぱ高中スゴいわ、という結論に達する。ボーカルがいるバンドのギタリストとインストバンドのギタリストを公平に比較するのはとても難しいのだけれど、ギターが曲の中心にいてボーカルの不在を一切感じずに堪能できたのは、僕にとっては高中正義が最初だった。その頃にもフュージョンというジャンルでCASIOPEAやTHE SQUAREなどのバンドがインストで大成功するが、それはやはりバンドという単位であって… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 河野圭佑
『人間なんて』
 なんだろうこのエネルギーは。比較的武骨なルックスのシンガーがピアノを弾いて人間讃歌をうたう。聴いててグッとくる。ハスキーな声は酒焼けなのではないだろうかと勝手な想像をするのは、彼ならきっと豪快に飲みそうだなあというこれまた勝手な先入観で、事実がどうなのかはまったくわからない。だが、たとえこのハスキーボイスが酒焼けだったとして、それで何の支障があろうか。腹の底から沸き上がるような声量と… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 忘れてモーテルズ
『馬鹿野郎はお前のほうだ』
 シンプルの極みというべきサウンドに楽曲。一種アナクロな感じだと受け取る人もいるだろうし、多分その感情は間違っていない。表現は常に進化するもので、音楽もその例に漏れず。今やジャンルはどんどん細分化し、これまでにない表現を求めるが故にどんどん専門的な何かになっていき、結果としてマニアにしかその良さがわからないというような音楽が市場には溢れている。だが、新しいだけが価値なのではなくて… (レビュアー:大島栄二)
 

 
編集長コメント

1位 のん『スーパーヒーローになりたい』:やっぱ知名度抜群で1位にランクイン。でも、1ヶ月も経たないうちに動画が削除されていて、びっくりしました。何か理由があったんでしょうけれども、ちょっと寂しいですな。

2位 GRAND FAMILY ORCHESTRA『ユリーカ』:この声がやっぱ独特で好きなんですよ個人的な話ですけど。そういうのが2位に入ってくると嬉しいですね。

3位 高野寛『dog year good year』:ほぼ2年前のレビューが復活ランクイン。過去レビューツイートが高野さん本人に見つけられてリツイートされて、ファンの方に広がっていった様子。

4位 ゆいにしお『タッチミー』:これもゆいにしおさんにリツイートされて広がっていったレビュー。既に知名度があるアーチストと、まだこれからのアーチスト、どちらであろうと本人を中心に広がっていくというのは同じことで、ただ単に知名度があるというだけではなく、フォローしてちょっとの情報でも探している熱心なコアなファンがどのくらいいるのかが、広がっていく鍵だと実感しますね。

7位 J Hus『Did You See』:毎週水曜日に洋楽を紹介してくれている夜鍋さんのレビューが7位にランクイン。最近は洋楽があまり聴かれないという傾向があるようで、そういう中でこうして注目されるのはとても良い感じだなとホッコリします。曲自体はホッコリするという曲調ではないですけどね。

10位 河野圭佑『人間なんて』:これも2年前のレビューが過去レビューから復活してランクイン。こういうのはサイト運営者としては本当に嬉しいんですよね。と同時に、最新レビューのアーチストも負けずに読まれてほしいと、矛盾する希望に悩まされますけど。

 2017年は終わりましたが、musiplは2018年も続いていきます。寒くなりますが、みなさん体調を崩されませんように。

(大島栄二)