100レビュー突破記念! 編集長 大島が語る

『musipl.comを始めた理由』

 

YouTubeはリスナーに届かない“埋もれた名曲”の宝庫

M子:最初、紹介できる音楽の数がそんなにあるのか心配だったのですが、今のところ、musiplは毎日更新を続けています。埋もれているアーチストって、意外と多いんですねえ。

大:ものすごく多いですよ。これからもまだまだ見つかるはず。

M子:こうした名曲たちが現時点で“知られてない”ってことは、その多くが一般のリスナーには“届いてない”ってことですよね。 なぜ既存の仕組みでは、リスナーに音楽が届かないんでしょう?

大:今は昔と違って、無名のアーチストも自分の音楽を簡単に公開することができるよね。YouTubeやSoundCloudなどの無料のツールがあるから。だから、相当数の人がアーチストとして音楽を公開はしているけど、実際はそのほとんどが、リスナーにまで届いてないんじゃないかな? 
 なぜ届かないかと言うと、YouTubeだけでもあまりに多くの動画が公開されていて、リスナーが好きな音楽を探し出すのは、砂浜で米粒を探し出すような困難な作業になってしまっているから。結果、多くの人は、名前をすでに知っているアーチストの音楽か、または再生回数が数十万回という既に人気の音楽にしか行き当たらない。
 普通の人は、YouTubeで無名のアーチストの、再生回数500回以下という曲を聴こうとはしないでしょう? それがどんなにいい曲でも。光るアーチストも、一見似たように見える音楽情報の洪水の中に紛れてしまっているのが現状だと思う。

M子:そんな洪水の中から、大島さんや他のレビュアーが、良い曲、面白い音楽を見つけ出せるのはなぜなんですか?

大:他のレビュアーさんたちのケースについては改めて話すとして、僕の場合は、やっぱりレーベルのプロデューサーとして長年、新人発掘のために、YouTubeにアップされた無名のバンドの曲を聴いたり、大量のデモテープを聴いたりしてきたからだろうね。

M子:新人発掘のためのYouTube視聴は、私もレーベルのスタッフとして日々やっているわけですけど、まだそこまでは良い音楽とか個性的な音楽に気づけてないですね。ほとんどがミスチル風とかヴァンプ風とか、どこかで聴いたことあるようなものばかりという気がします……。

大:M子さんに見る目がないということではないと思うよ。実際にほとんどの曲が有名バンドの模倣に過ぎない没個性的なものだし……。僕がそんな中から際立ったものをザクザク発見できるのは、20年以上の経験があるから。
 僕だって、最初の頃は、なかなか「これだ!」というものを見つけられなかった。でもそれでも毎日ひたすら無名のアーチストの音楽を聴き続け、ほとんどがひどいものばかりで、その中に、たとえ天才はいなくても、才能の原石はどこかにいるのではないかと、血眼になって探してきたわけで……。良い音楽も聴いてるけど、質の低い音楽はその何十倍も聴いてるからね。

M子:私はまだまだってことですね。

大:そうそう、20年も聴いていると、当然アンテナの力も磨かれるし、発見するスピードも速くなってくる。ここでは詳しく言えないレーベルとしてのノウハウもいろいろあります。(第2弾に続く)

続編では「musipl.comの今後の展望」が明らかに!

 

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