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サマーソニック2016の歩き方

  〜夢と魔法の国編〜 文=夜鍋太郎

【ジャズ色のガーデンステージ】

 マウンテンステージのみならず、ほかのステージもまた魅力的だ。今回は例年以上にステージごとの特色が出ている。それぞれに魅力的なアクトが揃っているので、一つのステージにとどまるか、細かくあちこち行き来するか、とても悩ましい。

 この日のガーデンステージは、ジャズ色が強い。まさかサマソニでこのようなラインナップが揃うなんて! どうか別日に独立したイベントをやってほしい、と願いたくなるほどだ。トリには「世界の」(こういう呼び方は好きではないが)上原ひろみが出演する。これはかなりすごいことではないだろうか。私は各会場の中で、ガーデンステージが一番好きだ。海の近さを感じ、野外の開放感を存分に堪能できるロケーションで、「大人の」音楽が流れる。至極の時間を過ごせるはずだ。

 何より、もはや日本でもおなじみとなったHiatus Kaiyoteのロックとも親和性の高いライブが楽しみでならない。ベストアクト候補の一つだと思う。






 

Hiatus Kaiyote「Nakamarra」

 

 また、結成20年を超え、ベテランながらも実験的な音楽を追及しているJaga Jazzistもガーデンステージにふさわしいライブを見せてくれるだろう。ジャズとさまざまなジャンルが融合した、そのバンドサウンドは夕方、オレンジ色に染まる空の下で聴くには最適だ。ライブならではの即興性の妙を無心になって楽しみたい。

 

Jaga Jazzist「Starfire」

 

【EDM色のビーチステージ】

 一方、ビーチステージはEDM色の強いラインナップが揃った。トリのThe Chainsmokersは今、EDM界隈で一番勢いがある若手と言えるだろう。まだフルアルバムをリリースしていないため、どんな曲をプレイするのか楽しみだ。注目の「Roses」をどこかで耳にしたことがある人も多いはず。砂浜のステージという、抜群のロケーションとの相乗効果で、異様なほど盛り上がること間違いなし。可能ならば、今のうちに彼らのステージを見ておくことをおすすめしたい。


 

The Chainsmokers「Roses」

 

 また、VINAIにしてもばきばきな音で攻めてくるので、はしゃぐにはもってこいだ。Zouk Outというシンガポールのフェスとコラボ、ということで、ラインナップ的にもダンス一色。この日のビーチステージはパーティー感あふれる空間が広がるはずだ。

 ただ、非常に酷なのだが、今挙げた2組のライブ時間がマリンステージでAlessoと丸々かぶっている、という事実だ。Alessoも注目アクトの一つと言え、「Heroes(We Could Be)」や「Under Control」などのアンセムで、去年のZedd並に巨大なパーティー空間が楽しめそうだ。何よりマリンスタジアムでのAlessoからのUnderworldという流れもまた、ジャンルこそ違うが新旧ダンスミュージックで踊りつくす、粋な体験となるはず。それだけに、ステージ移動のタイミングが悩みどころとなりそうだ。

 

Alleso「Heroes(We Could Be)」

 

【今年もHostess Club All-Nighterに期待大】

 昨年から開催されるようになった、オールナイトイベント。それがHostess Club All-Nighter(以下HCAN)である。もともと、Hostessというレーベル系のアーティストを呼ぶイベントが大好きだった私にとって、去年、群を抜いて楽しかったのはHCAN内でのF.F.Sのライブだった。ホステス系のアーティストは、インディーズ好きにはたまらない。外れなし! 深夜と言う時間帯もまた、ますます非日常的雰囲気を盛り上げてくれる。

 まず、今年はAnimal Collectiveを見られるだけでもう十分すぎる。そのほか、前年キャンセルになったDeerhunterも借りを返して、轟音を幕張メッセ中に響かせてほしい。また以前にホステスのイベントで見た、TemplesもÀsgeirも(私のmusiplの初レビューは彼だった!)ライブは間違いないので、たっぷり楽しみたい。さらに、Savagesも今、ちゃんと見ておきたい要チェックのバンドだ(新譜も最高だった!)。これは今年の夜も休む暇がない。

 ただ、これだけのアーティストが揃った上、HCANは2ステージしかないので、見たいアクトが確実にかぶってしまう。本当に贅沢な話だが、どのタイミングでどのステージを見ても間違いない、今年のサマソニにおいても、一押しの時間帯である。

 

Animal Collective「Golden Gal」

 

 


【サマソニ2日目!】

 
 

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