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【吉澤嘉代子】

 まだmusiplの形も定まらない2013年の夏、北沢東京さんが最初に紹介してくれたのがこの吉澤嘉代子。すごいなあすごいなあ、知らないカッコいいアーチストっているもんだなあと感心したものです。そして他の曲もつられるように見て、一番好きだったのが「らりるれりん」。当時の彼女のビデオは本人がほとんど登場せずに歌詞だけを見せるというリリックビデオで、それも神秘性を生んだのでしょうけれど、やはり歌が良い、曲が良い。単なる不思議少女とは一線を画した天然の不思議さ。ほんわりとしたテイストがとても良かった。で、2014年5月にクラウンからメジャーデビュー。その後出てきた「美少女」「ケケケ」は、なんか違うなと感じたものです。彼女が持っている不思議さを大人たちが増幅させようとして失敗したような残念さ。でも大丈夫。最新の「ストッキング」ではほんわりとした不思議さが、まったく無駄な力が入っていない感じで実現していて、これはいいなと素直に感じます。今は音楽もアーチストも消費サイクルが速くて、1曲2曲でダメだったらすぐに次みたいな風潮ですが、クラウンという古い会社だったのが良かったのかもしれません。この調子で、無理に頑張らずに吉澤ワールドを開花させてもらいたいものです。


 

吉澤嘉代子『ストッキング』

 

   
         
 

【ルルルルズ】

 モナレコードというのは東京にたくさんあるライブスペースの中でもかなり特殊なポジションを占めていて、多くのポップ系アーチストは1度は出てたり、出たいと思っていたり。そんなモナレコードの店長でもある行達也氏が結成したのがこのルルルルズ。この数年シティポップが盛んになってきている音楽シーンですけど、ルルルルズはそんなシーンの中でも中核的な位置にいるバンドだといっても過言ではないでしょう。とにかく洗練されている。とにかく歌が華麗。それでいてガツガツとした活動をしていないのは、行氏自身が語っているように、プロになることの暗部を冷めた目で見ているところがあるからなのでしょうか。とはいえ、これほどまでにハイクオリティなアーチストのことを、放っておいてはいけません。まあメジャーに行くことがすべてではないとは思うので、インディーズでいいので、モナレコードレーベルでいいので、次の作品を期待しています。


 

ルルルルズ 『All Things Must Pass』

 

   
         
 

【キュウソネコカミ】

 フェスが好きな人ならまず知らない人はいないでしょう、キュウソネコカミ。2012年頃にはライブハウスでただ暴れてただけの普通のバンドだったのに、何が起こるのかよくわからないまさかのメジャーデビューを2014年にビクターから。とにかく自由。発想が自由。そして音楽的にも速くてポップ。このバンドならこんな音楽を出すだろう的な型にはまらない囚われない。そういうのもきっとウケているところなのでしょう。もちろんそれだけで大人の世界を突き抜けて走り抜けていくのは困難だし、彼ら自身も新しいアイディアがいつか枯渇する時も来るのだろうとは思うのですが、そんな悪意ある想像などは軽やかに裏切って突き進んで突き破って宇宙の果てまでどこまでも行ってもらいたいものです。


 

キュウソネコカミ『GALAXY』

 


   
         
 
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 そんなわけで500レビューの中から9組を紹介してみました。他にも紹介したいアーチストはたくさんいたんですけれども、それはまあ改めて。

 次回は、売れるかどうかは判らないけれども売れたって何の不思議も無いアーチストを紹介する予定です。既にメジャーデビューしてたりプロダクションがついてガッツリ活動している人たちはまあ売れて当たり前ですが、実力あるのにまだどことも組んでなかったりするアーチストたちもいて、組んでない理由は様々あるでしょうけれども、そういう人たちを発掘するのがこのmusiplの使命でもあると思っているので、次回の記事は必見です(多分)。お楽しみに。


   
 
 

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2015.4.17.寄稿