【北沢東京が選ぶ5曲】


FOXX『first impression』


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 クラブに行けない18歳未満やクラブに憧れる地方の子たちが、頭の中で想像したクラブに対してのダンスミュージックをマウスで作り配信され、DJが現場でかけるというクラブロマン暴発の昨今。身体性を伴うエレクトロサウンドのグルーヴ感の信頼たるや。レビューには感情を抑えているように書かれていますが、これは人間が発電している様子。エモーショナル!動画も音色も5億点、足して10億点です。(北沢東京)

 

 EDMの強度を、改めて思い知りをするのですが、それは過去のハウス・ミュージック的なあらかじめ虐げられし層のための、ウェアハウス・ダンスを越えて、SNS、フェスの磁場を拡張して、より意味を持つ意味では大味かもしれなくても、ダイレクトに身体反応を刺激するのだな、と思います。この曲もきゃりーぱみゅぱみゅでもサカナクションでもなく、やっぱりFOXXなのですよね。(松浦達)

 レビューでもエレクトロサウンドと書いたのですけど、一時期のエレクトロニカブームを超え、最近はそういう音源を普通に楽器として使ってるだけのような気がしています。まるで有袋類がオーストラリアという隔絶した大地でほ乳類と同じような進化を遂げただけのような。だからほ乳類にロックがあるなら有袋類にもロックはあるだろう的な、そんなロックのひとつとして認識するように僕自身変わってきましたよ。(大島栄二)


水曜日のカンパネラ『モノポリー』


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 よく出来たポップスのテンプレートにあぐらかいてる歌に対して、私はとても意地悪な気持ちになって、たまに、新種の猛獣を卦しかけて「甘ちゃんバンドを食い殺せ」みたいな酷い紹介の仕方をするのだけど、そのような偏見はよくないですね。出来合いのポップスを真似て調子こいた音楽を作る人が居なくなったら、ミュージシャンはみんなストイックな求道者だけになってしまう。(北沢東京)

 

 musiplでは審美眼はめぐらせていつつも、昨今のリリック・MVの潮流のようにナラティヴ性よりも言葉の断片を伝える音楽が増えてきた中、こういう音楽はクールなような寺山修司、天井桟敷の香りもするのが良いです。アングラもサブカルも蔑詞ではないゆえに。(松浦達)

 音楽をひとつ作って形にするってものすごいエネルギーが要ることです。世界を変えるぜって歌を真面目に作る人の動機がパワフルであるのは理解しやすいけれど、これはダジャレじゃんって普通に思うし、でもそのダジャレを完結するために労力を絞り出して曲にしてアレンジ打込み声入れミックスして、ビデオのために駅名をひとつひとつ撮影して編集してって、何なんだろうこのモチベーションの生まれ出る源泉はと思いながら聴くのもひとつの楽しみ方。それはもうお手軽に言いっ放しのオヤジギャグとは別の種類の何かであること間違い無しですし。(大島栄二)


大森靖子『ミッドナイト清純異性交遊』


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 musipl.comのレビューはYouTubeに曲があることがルールなので、その点でため息を付くことが多いです。この時、大森靖子渾身の『絶対少女』が、YouTubeには無くて(※現在はある)「絶対♪絶対♪」と上る日を待っていたら1stレビューのビーチフラッグを持ってかれた!なーんて、そんなゲーム性を感じたものでした。(北沢東京)

 

 確信犯的に傍流を辿る時代の才女は、今も新たなトライアルをしていますが、こういったアーティストが出てくることで確実に隆盛するシーンもあるわけで、音楽性というよりもパーソナリティそのものへ注視されるという副文脈で、多岐に影響を付与してゆく2010年代”以降”のひとつのイコンだと思います。(松浦達)

 このレビュー時にもブレイクしていただろうけど、今年の夏フェスでかなり大ブレイクしてしまった大森靖子。そのビーチフラッグ持ってって済みませんw。musipl2年目は既出アーチストの別曲も紹介出来る仕組みに変えますので、次回『絶対少女』のレビューをどうぞよろしくです。(大島栄二)


ケリーマフ『イカサマ』


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 人間がギターを構えているサムネイルの動画はほぼ見ないのですが、顔が良かったです。クリックしました。ほぼ赤い域に針が振れているようなサウンドとバンドの佇まいに、訴えてくるものがあって、「人ひとり殺すつもりで弾け」っていうあるオーケストラ指揮者の言葉を思い出しました。(北沢東京)

 

 これを観ますと、ストーンズの仏亡命時を想い出しもします。なんか、後がないようで、ちゃんと先へとROCK OFFしようとしているという。ロックと短縮化されない、地下室のロックンロールを感じることができます。(松浦達)

 いいっすよね、コレ。で、ケリーマフは10月に弊社からCDリリースが決定しました!なので僕が取り上げるのはどうかなって思ってやめたけど、そんなの抜きに知る価値ある存在だと思います。それを北沢東京さんがピックアップしてて、ああ、musiplで突然取り上げられたアーチストの気持ちってこんなんかなって思いました。(大島栄二)


ハイスイノナサ『地下鉄の動態』


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 あともう1つ、全編モーショングラフィックのPVで、幾何学アイコンが列車が走っていくムーブで動きまくるのが紹介されているのをウットリ見た覚えがあるんですが、アーチスト名も曲名も覚えてません。今回、サイトの中を超クリックして探しまくったんですが見つかりませんでした。他で見たのかなぁ。ありますか?!そういうのありましたよね?!ともかく、あれです。各レビュー個別ページの動画右上にあるツイートボタンを押しておくとメモ代わりになるんで、そうします。(北沢東京)

 

 中国のある場所で絨毯の織物工場を訪れたときに職人の鮮やかなテクスチュアをずっと見ていた。ハイスイノナサのサウンドも無機的ながら、じわじわずれる差異に自身の感覚のリズムが合う。これが「都市の音楽」というわけではなく、「ニュータウンの密やかな音楽」だと思います。だからこそ、どんな場所でも心地良くアダプトできます。(松浦達)

 ハイ、これですね。説明で「アレだな」とわかるのは、やはり北沢東京さんの文章力の的確さだろうと思います。実はこれ、翌日のレビューが北沢東京さんの転校生『エンドロール』というやつで、それも文字を記号的に画面上で踊らせている動画で、その動き方が可愛くて、なんか似てるな、かぶっちゃったかなと思ったのを覚えてます。もちろん北沢東京さんが原稿を送ってくれた時にはハイスイノナサは公開されてなかったし、偶然とはいえ、シンクロした感じがなんか面白いなと感じました。映像表現って自由でユニークだし、それが楽曲とタッグを組むというのは世界が広がるなあとホントに思った2日間だったわけです。(大島栄二)

 



【大島栄二が選ぶ5曲】

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