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raciku『kakashi』
Muvidat
『19 Years』
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シンプルで切ないロックナンバー。ロックといいつつもポップな一面も持っている。このMuvidatは2017年をもって無期限の活動停止になったSHAKALABBITSのメンバーUKIとMAHが結成したバンド。シャカラビが活動を停止した時にはもうこの辺りが限界なのかと正直思った。個人的にはREBECCAのNOKKOやジュディマリのYUKIと同じ系譜に入る女性ボーカルのロックバンドだと思ってて、彼らが活動をスタートしてまもなくジュディマリが解散をし、その後シャカラビがめっちゃ盛上がるのかと期待したものの前述2つのバンドと比較出来るような活動には至らず、至らないものの熱心なファンを惹き付けつつ堅実な活動を続けてきた。しかしながら、2017年いっぱいで活動停止。解散とは言っていないものの、過去の他のバンドによる活動停止を考えてみれば、事実上の解散といっていいのかもしれない。バンドが活動を続けるにはビジネス的な成功とメンバーたちのモチベーションの持続の、どちらかが必要。ビジネス的なさらなる盛上がりも、音楽上のさらなる進化も、どちらも見込めない状況で活動を続けていくのは難しい。それを人は惰性と呼ぶし、ロック的なものと惰性は一番不似合いな関係にある。ではビジネスや音楽性の将来的な予測をするのは簡単なことかというとそうではなく、だから、人は迷い、時には誤った判断を下す。なにもロックバンドに限った話ではない。
シャカラビも2017年時点で、何かを考えたのだろう。そして活動停止の判断をしたのだろう。それは単なるリスナーの目から見ても、ある意味納得出来るものではあった。この辺なのかなと。だが、長いこと人生を音楽に捧げた人がまったく別の人生に進めるのかというと、それも結構難しい。やっぱり色々考えたのだろう。そして、このMuvidatだ。シャカラビのうちの2人が始めたこのバンドのことを、シャカラビの再来と言っていいのかどうかはよくわからない。布袋の活動も氷室の活動も所詮BOOWYではないし、忌野清志郎がソロで活動するのはRCではない。YUKIのソロをジュディマリと言えるのかというときっと言えないし、だから、MuvidatはMuvidatであって、シャカラビの再来と言うのはやはりおかしなことだろう。
しかし、Muvidatとして初めて公開したMVのタイトルが「19 Years」で。それはシャカラビを忘れないということの意思表明なのではないかという気がしてならない。シャカラビの活動期間は1999年から2017年で、ちょうど19年間なのだ。サビで「僕ら歌いつづけ 星たちが廻るのさ」と歌われる。一度活動を停止したバンドがその当時のメンバーで復活するには、全メンバーの合意が不可欠で、それが一番難しい。活動停止に至った経緯も理由もあれば、停止後に始まったそれぞれの生活もあるわけで、全員にすべてをリセットさせるというのは周囲が安易に考えるほど容易なことではない。だから、それが無理だとしても、彼らは彼らなりに出来る範囲のリセットとリスタートをしようとしたのではないかと思う。とても素晴らしい。単なるビジネス目的の臨時再結成バンドなどではなく、そこに在るためにもがきながら今を生きているロックバンドの姿そのもの。そういう心根は、必ず音楽に滲み出してくるものだ。
(2019.7.11)
(レビュアー:大島栄二)
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