Muvidat『19 Years』
TETORA『今日くらいは』
raciku
『kakashi』
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関西を中心に活動するracikuというバンド。彼らのこの曲、なぜか響く。どこがどう響くのかということを具体的に書くのがレビューというものだろう。それはよくわかっている。しかし、それを具体的に書こうと思ってもうまくいかない。考えて考えて、書こうとするとそれはすべて説明になってしまい、その説明がレビューを読んで曲を聴く人の理解の助けになるのかというと、むしろそれは余計で邪魔な説明にしかならないようで。いうまでもなく音楽を聴く時の最初の体験は耳で聴くということで、耳を含む全身で感じるということで。歌詞のある歌の場合はその歌詞を聞いたり読んだりして意味を汲み取り、理解しようとする。この曲も歌詞が占める重みの割合は大きいように思うが、それを説明したところで何の意味があろうかという気分にしかなれない。
だからレビューなどしないというのは、それはそれで間違っているだろう。何故なら、この曲がすごく染み込んできて、響いてくるからだ。取り上げる価値がある曲だ。ただ、その価値がいったい何なのかを具体的に書けないだけで。書けないから僕の能力と比較してどうだとかいうのもおかしな話で。僕などがいようがいまいが、そんなこととは関係なく曲の価値というものはあるのだ。
そういうことを考えながら、何度も何度もこの曲を聴く。彼らの他のMVもいくつか見てみる。他のMVではメンバーがそのまま映って演奏パフォーマンスをみせてくれる。そこには、わりと普通のロックバンドという印象がある。わりと普通って言い方は失礼だな。だがこのメンバーが出てこないMVの放っているインパクトと比べると、やはり普通という感じが否めない。そのくらい、この曲のこのMVがスゴいということなのだ。何故だろう、何故だろう。もう説明することは完全に諦めるので、どうか皆さんで聴いて、見て、それでその理由を考えてみて欲しい。
(2019.7.12)
(レビュアー:大島栄二)
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