この軽快なサウンドにさほど歌唱力がもどかしいボーカルの歌。これがこんなにも心地良いのはいったい何故だろうか。これはもう平成のカジヒデキ。いや、カジヒデキのことそんなに詳しく知らんけどね。MVには夜の街を歩くシンガーの姿が。そりゃ深夜徘徊デートだからね。そうやって深夜徘徊するのは都会の風景ばかり。うん、深夜徘徊というのは都会にだけ許された特権なんだろうと思う。夜を歩くといえば4年ほど前に紹介したMISOLAの『カゼノフクヨル』を思い出す。そのMVも深夜のシーンが映し出されるのだが、けっして都会ではなく、誰もいない深夜の道路や高速道路の灯りだけが頼りな感じ。それに比べると都会の深夜には人の気配がある。高速道路に車が走っていればそこに人間がいるのは間違いないはずなのだが、それよりも、きっと中には誰もいないはずの商店街のシャッターの方が人の気配がある。灯りが、人のために設置されているし、もののけがいる感じが無い。そういうのが都会的な歌だなあと思う。カゼノフクヨルにはない都会。Ghost like girlfriendの『fallin'』のような全面的な都会性とは違った、でも確実に都会な歌。都会というものが無意識のうちにベースにある人の自信に満ちている。都会にやってきた田舎者には永遠に届かない都会の自信というものが感じられる。
