イントロからスーパーカーの「YUMEGIWA LAST BOY」みたいで切ないな、とか、このスムースな音要素の各部にはニューソウル、AORなどのフレーズをこまかく想い出しつつ、結局は岡林健勝の甘いボーカルと詩のしなやかさ、サウンドスケイプからメロディーまでが此の日常の中に於ける音楽が今の時代に持つ疑問符に真摯に応対しようとしている姿勢に唸らされて聴き終える。そして、どこかロマンティックな彼岸の視角の先で、当たり前に文化的な諸要因が”混ざり合って”いて、興味深い。どんどんガラパゴス化しているのはどこか別の位相のテーゼでよく、こういう表現が密かに無知蒙昧な今に張りめぐされている鉄条網のようなステレオタイプや記号論を変えてゆくのかもしれない。