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南蛮キャメロ
『モノダネ』

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 音楽にはどうしても時代性というものが付いて回る。表現者がその時代に生きて何かを感じながら創作するのだから、時代感や地域感から逃れて音楽が生まれるということは難しいことなのかもしれない。さらには機材の進化も関係するわけで、80年代の最先端がピコピコミュージックだったり、90年代に入ればいかにもDTMで作りました的なものがワッと広まる。それはまるでMacとフォトショップが普及し始めた頃にフォトショ的なビジュアルが蔓延したようなもので、我こそが最先端のものをと胸を張って発表したデザインが実際には誰もがやっていることと同じものでしかなくて。そんな時こそ最先端の手法とは距離を置き、古くからある油絵の具と格闘した方がオリジナルな作品が生まれるものだったりする。南蛮キャメロという大阪のバンドが奏でるこの曲はどことなくノスタルジックなテイストに満ちていて、2010年代の音楽とは感じられない。ノスタルジックというのなら具体的に何年代かのテイストを持っているということなのではないのか、じゃあ80年代とか70年代といった特有の特徴があるということなんじゃないのか、と言われそうだ。だがその具体的な年代を言うことがどうしてもできない。それはおそらくこの曲が時代や機材にしばられること無く、彼ら自身の何かを表現することに成功しているからなのではないだろうか。例えば100年以上前の作品を美術館で見る時に、古さをまったく感じないことがある。古いのに斬新。おそらくそれは斬新なのでもなく、ただ単に「イイ」作品であるだけなのかもしれない。新しさを求めて奇を衒おうとすると、結局その同時代に無いものという縛りを受けることになる。結果的に今より半歩先のものを生み出すことに必死になり、時代というものとの競争をすることでしかなくなるのだ。時代など関係ないと割り切り、ただ自己に向き合って何かを生み出そうとする創作活動だけが、結果的に永遠の生命を作品にもたらす。のだとすれば、この曲もノスタルジックという形容が間違っていて、時代などを超えたオリジナリティと言うべきなのかもしれない。そう思えば、ただのんびりとしたテンポの中で彼らが命を燃やすような熱唱をしていて、それがただただ心地良い。きっと100年後の人が聴いても同じような感想を抱くだろう。その時まで生き残って欲しいと切に願いたい音楽だ。
(2018.8.27) (レビュアー:大島栄二)
 


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