サカナクション『多分、風。』
Why not nil?『My Favorite Songs (feat. 太田ひな)』
中田ヤスタカ
『NANIMONO feat.米津玄師』
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中東のある国から諸事情で日本に移ってきた家族が居て、そこまで昵懇ではないが、少しそこの子供たちと接することがあったりする。こういうことは今後、増えるのだろう。ただ、ある程度、受け入れ態勢が成り立っている街に。日本は難民の受け入れ規制は異様に厳しい。ただ、移民における労働力を介護や工場の現場に活かそうとしている流れがあるのは周知だろう。そのときに、いざ共同体のレジリエンスはどうなのだろうと思う。
そこで自身はあの著名なバンドの“Endless,Nameless”という歌を想い出した。
それは、戸籍がないとか名前がないとかではなく所在なき漂流という意味で、そして、漂流の先に挨拶した人は突然、引っ越してまた分からなくなる。こういう御時世なのだ、というのは容易だが、売りに出された家やマンション、アパートに確実に名残を感じる。小さい自転車、バーベーキュ台、花壇など。気鋭の作家、朝井リョウの『何者』という映画化の際に心配だったのは現実と落差のあるSNSの闇と病みだった。実際、うまく描かれながら、就活、若者の青春の中には裏アカがあり、独自の「止み」がある。
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止み。一瞬、吐いた悪罵や嫉みは止まったまま、そのまま拡がってしまうからだ。そんな中、現代を代表するサウンド含め言語作法のコンダクターたる中田ヤスタカは、PERFUMEやきゃりーぱみゅぱみゅなど生み出しながら、今回、米津玄師と組んだ。
そして、これがいかにも今なもので揚がるものの、どこかとても刹那い。表向き、華やかで握手して、「じゃあね。」って言ったあとに、裏アカで即座にディスされてる感じまで含めて、また言の葉の、葉の切り落とし方、ダヴィーな編集、米津氏の詩やダンスがビートニク的に消える。
それでいい、というのも今は正解じゃなくても、正しさに近いのだろうと思う。
結局 僕らは何者になるのかな
迷い犬みたいでいた 階段の途中で
(『NANIMONO』)
でもきっと、迷い犬もいずれ何者かになり、名前がつくのを信じたい。
(2016.11.5)
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
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