the peggies『LOVE TRIP』 Next Plus Song中田ヤスタカ『NANIMONO feat.米津玄師』

サカナクション
『多分、風。』

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 イントロだけでもうサカナクションだと判る。この低音のビート。かなり金属的なベース音。それにカラフルなサウンドが絡みつく。金属音的だから低いのに甲高い。そんなんが出だしからドンドンドンドコと鳴るのはもうサカナクション。こういうサウンドってサカナクションのようなある程度売れた境遇で自由に音作りを出来るから到達するのかというと、答えは否。誰もが使える機材で多分出来るはずなのに、こんな音を作っているのはサカナクションだけだし、聴けばああアレだなと判らせてしまうのはすごいなとただ一言。そんな彼らの新曲MVでは冒頭からボーカル山口が鑞人形のような風情で遠くを見つめている。人の顔に鑞人形のようなメイクを施すとやはりそれは魚の眼のような無表情さを醸し出してきて、なんか笑える。シリアスな曲とシリアスな構成なのに笑えてしまうというのはいったい何なんだろうか。僕はこの曲を聴いていて、何故かイモ欽トリオ『ハイスクールララバイ』を思い出した。サビに入る直前の歌メロも、シンセドラムのタム回し特有の音もまさに『ハイスクールララバイ』だし、山口一郎の丸黒ぶち眼鏡が山口良一(同じ山口姓だし…)を思い起させてしまうのだ。こんなことを書くと熱心なサカナクションファンからは怒号と罵声が浴びせられるのではないかとヒヤヒヤハラハラしてしまうのだが、サカナクションがどんどんとマニアックな音作りになっていくにも関わらず健全なポップネスを保持し続けているのは、案外そういうところにあるのではないかなあとも思う。ああ、それにしてもこんな文章を書いてしまうと本当に曲全体が『ハイスクールララバイ』にしか聴こえなくなってしまうし、そんな風に感じて苦々しくなっている人も数人は出てきたかなあと思うと申し訳ない気分で一杯だ。
(2016.11.4) (レビュアー:大島栄二)
 


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