イ・ラン『世界中の人々が私を憎みはじめた』
m-flo『come again』
CICADA
『YES』
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歌声が、ファンになる時の重要な要素になるというのは誰も否定できないだろう。このCICADAというバンドの曲を聴くたびに、声が良いなあと強く思う。聴いて連想するのはm-floで、それはこのCICADAのトラックの持つHIP HOP的な要素も理由のひとつであるけれど、やはり歌声の訴求力が圧倒的という点がm-floを想起させる大きな要因だ。いや、ちげーよ、2016年に何を古臭せ〜こと言ってんだよという反論も聞こえてきそうだがとりあえずここでは無視するとして、いくつかの曲を聴いてCICADAの特徴は儚さだと思う。人の夢と書いて儚いとはよく言ったもので、彼らの歌詞には常に届かない何かを求めようとする気持ちと、それが永遠に届きそうにない切なさに溢れている。今の日本が在る経済状況などからくる夢のなさという時代状況限定の儚さももちろんあるが、人が或る人を好きになるのに届かないという時代も地域も人種も関係なく永遠にある普遍的な儚さも併せてここに存在している。それを支えるトラックもどこか物悲しく、バンドとして向かっている先に同じものが見えているのだろうなと感じる。他誌のインタビューなどで「言い争っている」という見出しがついているものもあったが、内容を読むとそれほど言い争っているという感じでもなく、普通に良いものを作ろうとメンバー内で切磋琢磨しているだけで、やはり同じ方向を見ているバンドだなと判る。その上にボーカル城戸あき子の声が乗る。個人的にはm-floのLISAや松田聖子に匹敵する、曲調に関係なく声をただ聴いていたいと思える歌声。とても良い。11月にはメジャーデビューが決定しているという彼ら。久々に自腹で買いたいと心から思えるバンドだ。
(2016.9.23)
(レビュアー:大島栄二)
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