おぐまゆき『音楽』 Next Plus SongBeyond The Wizards Sleeve『Creation』

nightmeal
『瓶』

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 なんか怖い。怖いのあとに「w」を付けようかどうしようか迷ったけれども、なんか「w」なんて付けたら祟られそうでさらに怖い。全体的にパワフルで軽快なサウンドに、押しの強い、張りのある声が炸裂している仕上がりで、この組合せならどんなジャンルもどんなナンバーもこなせそうだなと思うけれども、じゃあそのテクニック的なところがこのバンドのポイントなのかというとそうじゃないような気がする。冒頭で触れた「怖い」という感情を起こさせるもの。ひとつひとつの歌詞に滲む狂気。90年代のアンダーグラウンドな音楽というものにはアンダーグラウンドとしてのドレスコードがあったわけで、アンダーグラウンドの音楽をやる人は全人生を賭してアンダーグラウンドを演じ切らなければならないようなところがあった。そうじゃないとファンは納得などしなかったのだ。でもよく考えてみれば音楽以外の演出の部分での評価が音楽への評価を左右するなんていうのはやはりまやかしで、そういうところから脱している彼らnightmealのような狂気の方がよほど真性の狂気のようで、だから怖い。考えてみれば髪を振り乱していかにも不審者という人は事前に距離を取っていればいいので本当は恐くない。普段から紳士淑女のような感じで過ごしているサイコパスの方がよほど危険なわけで、そういう人は90年代などにはあまりいなかったのかもしれないが、今はそういう危険人物は思っている以上に多そうだ。そういう意味でも、2016年の恐怖を見事に表現している1曲かもなあと納得してしまう。
(2016.9.13) (レビュアー:大島栄二)
 


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