エーツー『黒板ひっかきましたね〜フヌケた教師の唄〜』 Next Plus SongDigitalism『Go Time』

Johanna Warren
『Found I Lost』

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 神秘的、荘厳な、という声はある。例えば、エンヤやビョークはそういった表現に相応しく、ただ、透明感や幻想的で、となると、よく見受けられるものの、日本語の曖昧さの前に少し考える。ポートランドのフィメール・アーティストの彼女の声も、まさしくそういう形容をしてしまいたくなるが、何だかもう少し情念が深く見え隠れする感じが違う。

 ときに、ケイト・ブッシュ、フィオナ・アップル、ベス・オートンなどの横顔を想い出しながら、もっと素朴に清んだ歌心が大切にされているところが好感を持てる。ただ、MVや醸される空気はすこしゴシックでデカダンスだったり、何らかのクルーエルな背景が霞んでいたり、独特な雰囲気のものがあるので、ただ、そういった「何か」と音楽を結びつけて、敬遠する時代でもなく、フォーク・ソングがどういった歴史を持って、ゴスペルがどういった背景でもって、というのも考える時間は必要だが、まず、歌心に動かされる何かがあるか、の方が意味深い。

 多様なアレンジメントでも活きる存在と声だが、こういったシンプルなギターの弾き語りに沿うものがやはり良いと思う。五月の風、とはナラ・レオンの有名作であったが、まさしく清涼な五月の風のように吹き抜けるようで。
(2016.5.17) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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