Special Favorite Music『Magic Hour』
エーツー『黒板ひっかきましたね〜フヌケた教師の唄〜』
久米小百合
『異邦人』
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ある世代には久保田早紀といえばわかるだろう。この久米小百合さんはかつて異邦人という曲で一斉を風靡した久保田早紀である。ヒットの後しばらく歌手活動を経た後、芸能界から引退し、賛美歌歌手として伝道活動を始める。87年に出た賛美歌集CDを買って聴いたが、そこには異邦人的なものは一切存在していなかった。ああ、人はいくらでも方向転換をすることは出来るんだなあと感じた。それが良いのか悪いのか、結果が良いのか悪いのか、それは誰にもわからないけれども、そのとき自分が思う道は、自分で決めて進んでいくことができるんだなあと、なぜだか嬉しい気持ちになった。しかし久保田早紀として大ヒット曲を出したという事実は代わらないわけで、歌を歌う人として人前に出るのであれば、それが期待されるというのも致し方ない。賛美歌が伝道を目的とするならば、名もなき宗教家が普通に活動するよりも、かつてのヒット歌手がそのヒットソングを教会で歌うことで期待できる伝道効果は大きいだろう。だから、教会でも歌うのだろう。淡谷のり子はかつて別れのブルースの大ヒットをして「ヒットが生まれるということは、その歌を一生歌っていかなければいけないということ」と評した。西城秀樹は歌手である限り何歳になってもヤングマンを歌わなきゃいけないのだろう。山口百恵のように完全に活動を辞めてしまうのならともかく、ヒットを飛ばすということは、生涯その曲から逃げることは出来ないのかもしれない。良いことか悪いことかは別として。無論、ヒットを持たない売れない歌手にとっては、そんなの贅沢すぎる悩みなのだろうけども。しかしなんだかんだ言いながらも、良い曲だ。芸能活動を続けていたとして、これを超える曲に出会うこと作ることはほとんど不可能なことだったのだろう。
(2016.5.14)
(レビュアー:大島栄二)
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