Special Favorite Music「Magic Hour」。全てがロマネスクで出来上がっているようなバンド名と曲名だが、音楽が現実に応する力を改めて感じられる軽快さとやわらかな空気がここにはあって、それはどうにも「無理」しないといけないときが多いこの現実をほのかに持ち上げてくれるムードがある。クラムボン、cero辺りにも通じながら、昨今のシティポップという流れからも少し違うのは、管弦楽が入った8人という大規模なバンド編成に依るのかもしれず、同時に、スムースで流麗にこの曲でも歌われているように「旅に出よう」というポップ・ミュージックの持つ、聴いているだけで不思議な、旅する感覚が柔和に浮揚しているようなところがあるからかもしれない。