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banri shiraiwa
『天気雨』

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 自由だな、自由だなと思う。詩なのか、歌なのか。リズムがあるようで無いようで、でもやっぱりあるようで。吟遊詩人という言葉をなんとなく字面で理解していても、じゃあ吟遊詩人という人がどのような表現をしていたのかというと、そんなことは考えたことも無かったんじゃないかなあと思う。吟遊する詩人ですよ、なんだそれ。でも新宿辺りの路上で電池式のアンプを鳴らして歌っているストリートミュージシャンが吟遊詩人なのかというと、それはやはり違うような気がする。吟遊詩人には、音楽表現をする以外の時間を生計のためにコンビニなどでバイトしていて欲しくないし、ちょっとしたパフォーマンスに対して投げ入れられる小銭で生きていて欲しいし、それが足りないのなら霞でも食べていて欲しいし、いや、そんなのは無理なんですけどね。それでも空腹のことなど考えることもなく、その浮世離れした楽観と音楽で、なんならそこらへんの子供たちを沼の底に引きずり込んでしまうくらいの、そんな表現者であって欲しい。それも勝手なイメージに過ぎないんですけどね。banri shiraiwaの形にとらわれない軽やかな表現は、ああ、吟遊詩人なるものがいるのだとすればこんな感じなんじゃないかなあと思わせてくれて、不思議な気分にさせてくれる。それが世の中の音楽の主流になることは多分無いのだろうけれども、じゃあこんな感じの音楽がまったく無くなってしまったら、それは結構味気ないことなんじゃないかなあと。
(2016.5.6) (レビュアー:大島栄二)
 


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