余命百年『バタフライ』
UP BEAT『Kiss in The Moonlight』
ペイジ
『ひとつのせかい』
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音楽を楽しむのに技術なんて要るのだろうか。僕なりに答えを出すとするならば「要る」なのだが、それは音楽を楽しむということが比較に拠って立つということが前提になった場合の話である。では何故、人は比較をしなければ音楽を、絵画を、空を大地を楽しむことができないのだろうか。有名な誰か、誰もが知っているあの歌、そういうものに接すれば安心する。判断をすることを避けることができる。第一段階はそういうセールス的な数字と比較し、次のステップでは過去に聴いたアレやコレやと比較して優劣を判断する。だが、本当はそんな必要などかけらもないのだろうと思う。ペイジという仙台のバンドが歌うこの歌は、完成度としてはそれほど高くない。歌もときどき裏返る。リズムが完璧に合っているのかというとそれも少々疑問だ。だが、美しい。これを僕が美しいと感じることに誰かの声を気にする必要があるだろうか、いや、無い。世の中には完璧というひとつの価値があって、だがそれはひとつの価値でしかないのは言うまでもないことで、だから完璧なんかではまったく無いけれども美しい、そんなものはあちらこちらに存在するのだ。この曲は、そんな価値のひとつだと思う。ふらりと入り込んでしまったライブハウスの暗いステージで、こんな歌がもし聴けたのなら、僕はきっと涙を流すだろう。なぜ良いのかはよくわからない。でも、君もきっとイイと感じるんじゃないかな。そう思う。もし感じないのであれば、それはきっと僕と感性が違うだけのことで、君には君の、比較とは関係無しに涙を流せる何かが、きっとどこかにあるのだろう。それを感じられればの話だけれども。
(2016.3.18)
(レビュアー:大島栄二)
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