Kula Shaker『Infinite Sun』
ムシケ『アクチュアリティーのない夜に』
hunck
『曖昧クローバー』
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ピアノロックってジャンルが登場してどのくらい経つんだろうか。ピアノが入っているバンドなんて昔からいたけれども、誰かが「ピアノロック」と打ち出すことによってジャンルは始まるもので、その言葉にはジャンル分け以上の意味など本当はない。しかしながら言葉が出来ることでそのバンドの性格は本質以上にジャンルの言葉に左右されるようになる。バンドにとっては見ず知らずの人に理解してもらうためにジャンルというのはとても大切なのだが、ジャンルに過剰に体重をかけ過ぎると自分の首を絞めることになる。多くのバンドがジャンル分けに臆病すぎるほどに慎重になるのはそういうことだろう。このhunckというバンドは別にピアノロックと自分たちを定義付けてはいない様子。過去の曲をいくつか聴いてみてもピアノが特別前面に押し出されているわけでもない。だからこの曲でピアノがドドーンと聴こえているのはこの曲のみのアレンジということなのだろう。そういう自在なアレンジというのはいいなと思うし、この曲で古いアップライトピアノがこんなにも存在感ある色合いで鳴っているのは単純に聴いていて心地良い(レコーディングでは別のピアノが使われているのだろうけれども)。彼らのような曲調のバンドは今たくさんいるし、そういうバンド群の中からどう頭角を現していくのかは大変な競争だ。他のバンドとの差別化を図るというのは、実は自分たちの持ち歌レパートリーの中から個々の楽曲をどう差別化しひとつひとつに個性を与えるのかという努力の結果なのだ。そういう意味でも安易にピアノロックなどという言葉で自分たちを楽させるのではなく、この曲でこのアレンジを打ち出した彼らのことを評価したい。
(2016.3.10)
(レビュアー:大島栄二)
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