ratta『藍』
下田逸郎『この世の夢』
ロクトロン
『Realize』
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スカッと抜ける声はちょっと人工的なにおいがする。デスクトップミュージックも初期の頃には音符の通りに音を鳴らすだけの機能で精一杯で、だから味気ない印象だった。その後クオンタイズをどれだけずらすのかみたいな試行錯誤に躍起になって、でも徐々に実際に演奏しながらのリアルタイム入力が当たり前になり、人工的かどうかの評価はあまり意味が無くなる。電子音を電子音のまま活かすピコピコテクノも盛上がったり、ボカロが登場する辺りからはむしろ人工的なものの味のようなものもプラスに評価されるようになり、ああ、音楽って深いなと感じたりもした。ロクトロンというバンドのボーカルスミタダイスケの声は高音域でスコーンといくだろうと思うところであっても突き抜けることはなく、独特の声質から、空気を一度ヤスリ掛けするかのような引っ掛かり感がある。80年代終わり頃のハイトーン競争時代であれば確実に時代に乗り遅れただろうが、今は2010年代後半。僕は、こういう声の人間的な響きが好きだ。関西を中心に活動する彼らが、全国的な知名度と活動になっていけるのかどうかは声だけでは決まらない。だが、こういう人間味溢れる声に耳を傾けることでやわらかであたたかい心地よさを得られることは間違いないと言えるだろう。
(2016.1.15)
(レビュアー:大島栄二)
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