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pe'zmoku
『ハルカゼ』

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 PE'Zがつい先日解散、ファイナルライブを行った。PE'Zといって僕が思い出すのはこのバンドpe'zmokuだ。pe'zmokuとはPE'Zと事務所が同じシンガーソングライターsuzumokuが2008年に合体して組んだバンドで、インストバンドであったPE'Zにとってボーカルが加わることでよりポピュラリティを得るきっかけに、そして先輩バンドと一緒に活動することでより多くの人たちに見て聴いてもらうチャンスを得るきっかけに、と事務所は思ったのだろうか。だが当時suzumokuのファンだった僕はなぜ今それなのかと不思議に思った。PE'Zのファンはどうだったのだろうか。過去の形にこだわり過ぎることで新たな可能性の芽を摘む可能性はもちろんあるが、同時にあまりに唐突なチャレンジは過去をバッサリと切り捨てる可能性もある。pe'zmokuは翌2009年のライブ終了後、suzumokuが謎の失踪をする。数週間後に発見され、レコーディングは続いたが予定されていたライブはPE'Z単独で行われ、バンドとしての活動は終了した。その顛末を見ていて、やはり無茶な合体だったんじゃないかと、真相を知る由は無いものの、一ファンとして感じていた。今回PE'Z解散の報に接し、あらためてpe'zmokuの音楽を聴いてみると、その歌詞が意味深で「ごまかして逃げた事」なんて言葉がsuzumoku自身の歌詞として歌われている。きっといろいろあったのだろう。しかし曲全体は軽やかで、幸せに満ちていて、ソロシンガーと言葉を持たない5人組の融合は、ビジネスとしての活動でなかったのであれば、お互いにとってもきっと有意義な選択だったのではないかとさえ思わせてくれる。その5人もこれからは別々の道を歩むわけで、それは別に彼らだけの特別なことではなく、ほとんどのバンドマンが経験する出発である。そんな彼らのことも「新しい風が出迎えてくれる」ことを祈りたい、そんな気持ちにさせてくれた。
(2015.12.26) (レビュアー:大島栄二)
 


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