buriki『ログアウト』
Nohtenkigengo『Fever』
古賀小由実
『なのはな』
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鍵盤の音は誰が弾いても同じなはずなのに、なぜか弾く人の心がそのまま音となって広がるような気がするから不思議だ。僕が大手レコード会社を辞めてインディーズで生きていこうと決意した頃に出会ったシンガーのことを思い出す。彼女もまた可憐な鍵盤の音を鳴らして、澄んだ声で歌っていた。当時はまだ僕自身にもさほど力もノウハウもなく、CD1枚出すのにも高いハードルがあった時代で、彼女とは何度も話をしたものの、結局CDを出すことは叶わなかった。当時のライブを録音したテープは今も時々聴き返すことがある。音楽というのはとても個人的な記憶に残るものだと思う。彼女の歌や演奏を知っている人は当時も少なく、今となってはほとんど再生されることはないのだろう。そんな記憶を思い起こさせた古賀小由実という人のライブ映像は、優しくて、可憐で、ひっそりと傍らに咲いている菜の花のようなたたずまいで、こういう音が日本のあちこち、世界のそこかしこにあるのだろうなと想わせる。こういう音に出会うと、この人しか出すことのできない音を多くの人に知らせていくことの必要性を強く感じる。インディーズレーベルを主催するものとしての理想はCDリリースという形なのだろうが、それができるかどうかはまた別の話。ともあれ、こういうサイトでの紹介という形であれ、小さな何かができればという気持ちにさせられた。
(※2017.2.15日時点で、リンク先の動画が非公開扱いになっていることを確認しました。レビュー文面はこのままにしておきます)
(2014.11.1)
(レビュアー:大島栄二)
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