古賀小由実『なのはな』
箱庭の室内楽『five』
Nohtenkigengo
『Fever』
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トクマルシューゴが比較に出される理由も踏まえつつ、このアート・ポップ職人としての手腕の確かさはこの曲からでも十二分に伝わってくる。宅録をベースに、ストレンジな楽器のアンサンブルはヘッドホンで位相を確認しながら聴かずとも伝わってくると思うが、SSWたる花枝明のこのソロユニット“Nohtenkigengo”は、よりサウンドデザイニングの面が際立っているといえるのが面白い。この「Fever」から伝わるのは、ファニーさだけではなく、ジャジーでミニマルなフレーズであったり、ネオアコの尖りだったり、兎に角、無邪気な音楽のようで、過去から現代の音楽をトレースした上で自身の感覚を取り入れたら、どういった化学反応が起こるのかを実際に試すような、そんなスリリングな要素もあるように思える。だから、聴いていて、何だかヒヤヒヤしたりもする箇所もあるが、昂揚する何かの一端はマッド・サイエンティストの作りだす“それ”に依拠して、もたらされる感覚なのかもしれない。インタビューでのメタ視点に構えているようで、元ネタへの再現に対しての言及など、ベタなスタンスも何だか頼もしい。
(2014.11.3)
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
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