前野健太『東京の空』 Next Plus SongFour o'clocks『朝の恋人』

踊ってばかりの国
『東京』

 しつこいかもしれないが、東京シリーズ。踊ってばかりの国が歌う東京は狂気の街を描いていて、いやそれはごく一部の話だろうと反論したくもなるが、その論法は一部とはいえその狂気を東京は持っていることを肯定していることになる。アートとは表現とは現実のある側面を切り取り誇張することで受け手に何かを気付かせるという効能も持っていて、そういう意味ではこの曲はアートだといえるのかもしれない。東京の狂気を歌い、トウキョーと連呼しながらも彼らは東京に居て、映像は美しい風景をとらえる。画一化された都市整備は日本中に東京のコピーを作ろうとしてしまうが、そのどこもが結局は東京になれたためしはなく、世界で唯一の都市として東京は東京であり続ける。そこにはなぜか人を集める魔力があって、人が集まることがまた東京にエネルギーを与える。その魔力が誘蛾灯のようなものだとしても、きっと人はそこに集められていくのだろう。僕は東京の魅力を否定しない。きっとそこに戻ることはないだろう街として、遠くからその幻影を眺めながらでしかないけれども。
(2014.9.27) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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