Michael Jackson『Slave To The Rhythm』
mimiclick 『ない』
fugacity
『手の中』
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日本の中で、こういう程よいテンポと暖かい音の質感を持ったバンドが増えているのは喜ばしく感じる。Fugacityとは物理学の用語で、説明すると長くなるので割愛するが、難解なものを用いるなぁとも一瞬感じたものの、彼らのオフィシャルHPでは“早落性、はかなさとの意味”と称されていた。そのニュアンスを汲んだ音楽がここにはあり、虚無、刹那性を静かに抱えながら、夢見心地と行雲流水の間を往来するような姿勢が自暴自棄ではなく、過ぎゆく日々、生活の豊かさ、そこでよぎる情感に対して見据えているところが頼もしい。この「手の中」でも、茫漠とした、少しの後ろ向きだったり、曖昧な言葉のなかに、不意に、”教室のカーテンにくるまっていた友達のこと”を思い出したりする。元・RAYMOND TEAMの大野裕也が中心となり、2007年から活動を始め、決してリリース・ペースは早いわけではなく、膨大な注視が集まる存在ではなかったが、今のような膨大な情報量に惑わされてしまいそうな人には彼らのような音楽には自然と魅かれるべきものがあるのではないか、と思う。
(2014.5.23)
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
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