フリッパーズ・ギターの闇鍋的で、同時代的共振感覚を先取りながら、シニシズムとぼんやりとした世界の破局までも見つめながら、ヘアーカット100、ハッピーマンデーズ、ストーン・ローゼズ、プライマル・スクリームなどを日本のカルチャーの中心部に埋め込んでからのソロでの本質回帰。というのはナラティヴとして、とても在り得る。ニルヴァーナに出会わなかったら、っていうアーティスト、バンドなどと変わらず、小沢健二という人も非常に分かり易い博覧強記の中の自意識のしなやかさを見せる。背景にゴスペル、モータウン、マーヴィン・ゲイ、カントリー、フォーク、ブルーグラスなどがあれども、『LIFE』という作品が日本で、また、たまたま1994年の8月の終わりにリリースされることは夏休みの延長券の獲得者といえて、故・大瀧詠一の1981年3月の『A LONG VACATION』に妙に重ねってくる都市性とともに二重に、ユーフォリックな作品といえた。