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夕焼けアフロ
『おかえり』

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 家に帰って灯りが点いているとホッとする。それはよくいわれることだが、じゃあ灯りが点いてさえいればいいのなら出かける時に電気を消さずに出ればいい。それで本当に帰宅してホッとできるのかというと、多分それは違うだろう。迎えてくれる何かがあるということが、その言説の意味なのであって、灯りが点いているかどうかは単なる比喩に過ぎない。どこかに出かけて、それは夜には帰る仕事でもいいし、帰宅予定のある旅行でもいいし、いつ帰るとも知れない放浪でもいいが、本当の放浪に人は耐えられないことがほとんどだ。家族だったり、親友だったり、ペットでもいい。誰かが、何かが自分を迎えてくれるどこか。そして迎えてくれる存在そのもの。苦しい時にも健やかなる時にも、そういう迎えてくれるという現実が、人を人として生かすのだと思う。この曲で歌の主体は「帰ろう」「帰ろう」と繰り返す。帰ることは、誰にでも出来る単なる行為であって、そこに希望はないのだろうと思う。だがこの曲のタイトルが「おかえり」であることが、「帰ろう」の帰結であり、意味であり、希望そのものである。やわらかなメロディに優しい声が乗る。音のトーンは不安定で悲しげな側面もあるが、やはりトータルでは希望の歌だと思う。名もない名曲だ。長いこと一人暮らしをすることになれてしまえば、家に灯りが点いていないことが常態化し、そんな希望さえ存在しないような感覚に陥る。だが、それでも帰ることを人は無意識に望む。人は人とつながっていることで、自分を感じることが出来るのだから。
(2015.8.10) (レビュアー:大島栄二)
 


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