緑黄色社会『幸せ』
Jordan Rakei『Say Something』
BiSH
『DiSTANCE』
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アイドルグループというカテゴリーを頭に思い描いてしまうと、もうそのカテゴリーに属するといわれる人たちの中にあるはずの違いを理解しようという努力を放棄してしまう。それはロックバンドというカテゴリーを頭に描いて、ロックバンドをすべて同じものと考えてしまうのと同じくらいの愚かなことで。それはそう、大人が「最近の若い者は」などとカテゴライズして個々の顔を見ずに批判するような愚かさで。
アイドルグループといってもAKBがあって、その前にはモー娘。があって、そのさらに前にはおニャン子があって。その一連の流れの外にいたのがPerfumeで、一連の流れの外にいたからか、彼女たちをアイドルグループのカテゴリーの中にいれるのには抵抗がある。あれは、アイドルグループではなくてPerfumeというカテゴリーなのだと思う。中田ヤスタカという希有な才能がプロデュースするからということもあるのだろう。AKBの登場辺りからたくさん沸き起こったアイドルグループ運動。現れては消え、消えてはまた現れる。たくさん現れる以上、そして人気を獲得して生き残っていくためには他との差異を打ち出す必要はある。若さと可愛さだけしかないのなら、それは自分たちでなくとも他でもいいということになるのだから。ロックバンドと違いアイドルグループにはプロデュースする大人たちが存在する。だからこそ戦略としてその差別化、個性の特化は苛烈になる。バンドの「オレたちの魂を歌にするんだ!」という単純なものでは勝ち残れない。そしてロックバンドが売れなくても延々と地道な活動をすればOKというのとは違い、勝ち残らなければ彼女たちの活動はそこで終わる。
だから大人たちの戦略に基づいて個性を打ち出そうとする。しかしその大人の戦略が臭うようではダメだ。そんなのはすぐに見抜かれる。大人が打ち出すコンセプトをきちんと理解し、それこそが自分の魂そのものなのだというパフォーマンスに昇華させられなければ、見抜かれてそっぽを向かれて終わるのだ。そうやって終わったグループはゴマンといる。
そんな中で、BiSHのパフォーマンスや「魂」は見事だ。ここに至るまでの道程は、舞台裏は壮絶なものだったのだろう。その壮絶さは、想像したくないよ。
(2019.7.16)
(レビュアー:大島栄二)
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