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緑黄色社会
『幸せ』

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 緑黄色社会についてレビューしたのはもう2年半も前のことだ。レビューを1度しても、その後活躍がなければバンドの名前を目にすることはなくなる。SEARCHタブをクリックした先にはたくさんのバンド/アーチスト名が並び、それらのすべてをレビューした僕自身が覚えているわけではない。そりゃそうだ。そんなに記憶力が良ければもっと別のことをしていただろう。それはともかく、記憶の彼方に去ってしまったバンドたちの中で、その後の活躍によって名前をたびたび目にする者もいて、緑黄色社会はそんなバンドのひとつだ。2年半前のレビューでは、MVの作り方について方針が定まったのだろうということを書いた。それは些細なことだが、バンドが成功するという途方もない難事業を前にして、その些細なことの積み重ね以外に方法論はない。MVの作り方以外にも様々なところで、彼らは些細な努力を積み重ねてきたに違いない。
 そうして久しぶりに彼らのMVをちゃんと見て、この成長ぶりはいったい何なんだろうと圧倒される。売れるというのは、音楽的な実力だけで達成出来る結果ではない。音楽以外の様々な些細なことをいかに努力するのか工夫するのかが要求されるサバイバルゲームだ。売れやしないと思いながらも精一杯真面目に取り組む。だがそうやって音楽以外の些細なことにのめり込んでばかりいたら、肝心な音楽が疎かになる。発声や演奏能力を日々磨き、曲を作るクリエイティブ作業にも時間と努力を傾注する。その上に音楽以外の些細なことだ。音楽に人生を捧げる覚悟の無いヤツにはきっと無理な夢への取組みだろう。この緑黄色社会のMVを見て、まず感じることは、その夢への取組みをキッチリすれば、2年半でこの程度までには結果を出すことができるということだ。もちろんそれには才能も必要だ。彼らには音楽的な才能はある。だがそれも、飛び抜けた特殊な才能というわけではない。このくらいの才能ならたくさんいる。しかし、その並よりちょっと良いくらいの才能をちゃんと開花させられる人はほとんどいない。だから些細なことを積み重ねるのは本当に難しいのだけれど、難しいその積み重ねをきちんとやりさえすれば、結果は出せるのだということの、ひとつの証明のような曲でありMVだと思う。自分こそは並以上の才能を持っていると信じ、そのことを証明したいと思うミュージシャンは、こういうバンドの活動ひとつの道標として困難な日々に突き進んでいけばいいのだ。単にリスナーとして聴いても普通に心に沁みてくる歌だが、それ以上に聴く人すべてに勇気をくれる、そんな楽曲だ。
(2019.7.15) (レビュアー:大島栄二)
 


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