No color traffic light『隣のスタジオ』
The Comet Is Coming『Summon The Fire』
meh meh white sheeps
『melonsoda fish』
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バンドって本当に不思議で、メンバーの組み合わせで不思議なマジックが起きることが本当にごく稀にある。ひとりひとりでは何の輝きも放ちやしないのに、他のメンバーとの組み合わせでもまったく輝いたりしないのに、なぜだかその組み合わせだとひとりひとりがめっちゃ輝いて仕方ないというマジック。そんな奇跡の偶然がこのバンドにはあるようだ。めちゃイケメンとかめちゃ美形とかでもないツインボーカルが、心の底から魂込めて歌っているにはほど遠く。なのにこの爽快感はいったい何なんだ。曲を通して鳴っている鍵盤がまたチープなシンセサウンドで、超絶な指使いでもなくて白玉の音符をパッキング的に鳴らしてるだけなんだけれど、とっても心地良い。曲のイントロがシンバルの連打から始まってて、特別手数が多いわけでもないシンプルな叩き方なのに、他の楽器も超絶なことやってないからドラムの存在感が自然と増す。そう、とてもマジックな組み合わせが起きてしまっているのだ。おそらく、彼らが解散して別のメンバーと組んで新たなバンド活動を始めたとすると、そこで彼らが同じように輝くのかというとその可能性はとても低いだろう。それは彼ら個々にポテンシャルが乏しいというのではなく、このバンドで起こったミラクルが他ではきっと起こらないということ、つまりこのバンドでは不思議なことに持っているポテンシャル以上の何かが生まれてしまっているということだ。ちなみに昨年秋に公開の別MVを見ると、ベーシストがいて、女性ボーカルは鍵盤ではなくギターを演奏をしている。もちろん曲自体が違うので一概に比較は出来ないのかもしれないけれど、印象としては、普通だ。輝きがない。MVのテイストも違うし画面の明るさがまったく違うし、だから一概に比較してはいけないんだろうけれど、この曲の明るさというかオーラというか押し出し感が圧倒的で、同じバンドだとはとても思えない。ミラクルだ。そのことを彼ら自身が知ってるかのようで、歌詞には「何も持っていないんだけど/ちゃんと歌うよ君じゃないとさ 」と歌われていて。普通に考えたら若い男女の恋愛の歌なんだろうけれども、「僕らはひとりひとりはたいしたミュージシャンじゃないけれどさ、このバンドで良かった」というように聴こえてしまう。というかそれ以外には聴こえないよ。HPにもTwitterにもベーシスト募集中とか書いてるけれど、もうベースレスバンドでいいんじゃないか、というかベースレスの方が良いのに。この組み合わせ絶妙で最高じゃん。まあこんなことを書いていて、それに影響されて彼ら自身が縛られてしまっても仕方ないことだし、無関係なところから無責任に書かれたレビューなど無視して、本当にベーシストが必要と感じて正式メンバーとしてベーシストを迎え入れたら、そしたらまたミラクルが起こる可能性だってゼロではないし、そうやって次のミラクルに向かって突き進むというのも、バンド活動のハラハラ要素として必要なことなのかもしれないし、まあその辺は自己責任で。皆さんの肩の力が抜けたポップネスがとても心地良くて、これからもそういうのが聴けたらいいなと無責任に思ったりするだけです。
(2019.5.28)
(レビュアー:大島栄二)
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