先日ふとつけたテレビに上田正樹が出てて、この曲を歌っていた。悲しい色やね。彼の最大のヒット曲だ。感情を込め過ぎるのか原曲の形はもはやほとんど留められていなくて、ある意味スゴかった。かつて淡谷のり子は「ヒット曲が出るとそれを一生歌い続けなければいけない」と言っていたとか。たしかにそうだろう。西城秀樹も亡くなるまでずっとヤングマンだったし。一生歌うことを要求されるヒットに恵まれるということは、幸せなことであるけれども肩に何かを背負うようなものなのかもしれない。同じ曲をずっと歌ってれば本人も飽きるだろうし、少しでも新しい何かを加えようとして、原曲の姿はどんどんと失われていく。一生で一度しか見ることができないであろうファンは懐かしの原曲そのままを聴きたいのではなかろうかと思うが、それを歌手に強いるのも可哀想な話で、まあ一応その歌を歌ってくれているのだから、スタイルの多少の変化は大目に見てあげるべきなのかもしれない。
そうだとしても、大目に見る限度というものはあるだろうよと言いたくなるくらいの変化で、ファンクで、R&Bで、ゲロッパだった。ジェームス・ブラウンかよっと言いそうになった。「I gatta, I gatta」とか言ってたし…。そう思って昔の、上田正樹がまだ若い頃の悲しい色やねを見てみたら、思ってるよりも既に僕が思っていた原曲とはかけ離れていて、もしかしたらこれが彼の悲しい色やねのオリジナルスタイルだったのではないかと思ったし、だとすれば先日見た悲しい色やねもオリジナルとそんなにかけ離れていないのではないかなあという気さえしてくる。さすがに昔は「I gatta, I gatta」とは言ってなかったけれど。