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O's-age
『移ろう季節に花束を』

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 CMなどでサビだけを聴かされ、とても良いので1曲通して聴いたらサビ以外が全然ダメでガッカリするということがよくある。サビとそれ以外の部分がまったく別の曲のようで分離しているというのがその大きな理由なのだが、そういうことはどうして起こるんだろうかと考えてみても、結局はそのバンドに実力が無いからという以外の結論は無いように思う。ではサビとそれ以外が均質であればいいのかというとそう単純な話でもなく。均質であればあるほど単調で面白くない。要するに、曲というのはそれ単体で約5分の物語になっているべきで、だから物語は一貫している必要があるし、同時に起承転結的な盛上がりが必要だ。その転がドラマチックであればあるほど盛上がるが、唐突すぎればリアルを感じられなくて感情移入できないと、そういうことだ。この「移ろう季節に花束を」という曲はメロディの展開がけっこう派手で、1曲の中で様々な景色を見せてくれる。だがそれがまったく関連性のない景色ということではなく、展開の移り変わりの切り替えがダイナミックでありつつもスムーズで、興味深い。一般的に曲の価値とはそれだけではないし、それ以外の価値で意味のある曲もたくさんあるけれど、この曲のメロディ的場面展開の面白さは一聴の価値がある。MVの画面も演奏シーンが夜から朝に変化していて、一晩中朝まで撮影大変だったろうなという考察はあるけれど、そんな画面的な変化や展開よりも、楽曲の中で起こっている変化や展開に意識を向けて聴いてみるというのも、音楽の楽しみ方のひとつなんだろう。あと、ギターの音がメチャカッコいいというのも感じるので、それにも耳を向けつつ。
(2018.7.9) (レビュアー:大島栄二)
 


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