Apple O'『ハッピー』
山本達彦『夜のピアノ』
Bakyun the everyday
『TOKYO!!!』
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東京について歌う曲が多いのは、そもそも人口が多いのに加えて、若者たちがこぞって東京に向かうからでしょう。過大な夢を抱いて向かい、現実はそんなに夢など実現しないということに気付く。しかし感覚が敏感な年頃に体験と記憶を重ねた街に対して思い入れが膨らむのは当然で、そこから去った人たちにとっても忘れることの出来ない、むしろ想いがそこに残ったような街だから、歌もたくさん作られては、そこに共感する人も多いのだと思います。そんな中で思い入れマックスになっていくのは当然で、その結果全体的に演歌のようなバラードとして東京ソングは再生産され続けていくのです。
タイトルを見て「またか」と思いました。思いましたよ。絶対そうだよだって東京ソングなんだもの。しかし、違いました。裏切られました。心地良い裏切りでした。だって、「Everybody東京、にせものsit-down」ですよ。東京はみんなニセモノですよ。カッチョエエなあ。こういうことを言われて「なに言ってんだ、オレたちはニセモノじゃないぞ!」なんて言うのはもうやめて、みんなニセモノだということを前向きに認める時期が来ているのではないでしょうか。都会なんて99.9%作り物なのだから、ニセモノで当たり前。その人工的なニセモノの中にこそ存在する魅力というのは確かにあるわけで、それを認めた上で東京を賛美し、美化し、誇ればいいのではないでしょうか。そのことを潔く切り取って表現しているこの曲はなんとカッチョエエのでしょうか。かつてラスベガスのシーザースパレスに行ったとき、屋内なのに通路の天井には青空が描かれて、真昼の屋外市場のようなお店が立ち並んでいましたが、あれは時間の感覚を失わせる目的で青空空間を演出しているそうで。そのことを思い出しながら都会のことを思うと、24時間の店がどこまでも続いていて、ああ、これもカジノのようなニセモノ空間だったなあという気になってきます。ニセモノ空間よ永遠なれ! 東京の賑やかで華やかな空間がいつまでも続いて欲しいと心から思います。
(2018.5.18)
(レビュアー:大島栄二)
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