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Lucky Kilimanjaro
『Favorite Fantasy』

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 とても軽快なポップミュージック。そしてどことなく懐かしい印象。こういうのを、シティポップと呼んでいいのだろうか、よくわからない。例えば冒頭から「青山通りを抜け」や「ロンリーボーイ/ロンリーガール」「魔法をかけ」といったフレーズが散りばめられていて、それが70年代後半から80年代にかけてのポップス、例えばEPOあたりの雰囲気を感じさせるのだ。歌唱法、というかひとつひとつのフレーズの終わりを伸ばさずに切る歌い方も、あの頃特有のリズムを彷彿とさせる。そもそもシティポップのシティという言葉自体が特に新しくもなく、むしろ古い印象を持った言葉なので、そういう意味ではやはりシティポップと呼んでも差し支えないのではないだろうか。
 とはいえ、このLucky Kilimanjaroという6人組はまぎれもない今の若いミュージシャンなのであって、その人たちが作る今の音楽を、リスナー側のノスタルジー的な感覚で「懐かしい雰囲気」などと括ってしまうのはどうなのだろうか。70年代の「青山通り」が持っていたイメージが今の青山通りのイメージと一致するわけではないのだし、家電で家族共有の固定電話が連絡の唯一の方法だった時代と、携帯電話やLINEにSNSで世界中どことでもつながれる今とでは、ロンリーボーイやロンリーガールの意味するものが同じな訳がない。なので、同じ音楽であっても、それぞれの年代世代に見えている聴こえているものはまったく違うのではないかなあと、この曲を聴きながら感じたりしてみる。なので、僕にとってはやはりこれはシティポップ。異論はあると思うけれども。で、彼らのHPを見に行ったら自らを「エレクトロポップ・バンド」と表現していた。そうか、シティとかいう言外の意味を持った旧いジャンルであるかどうかではなく、エレクトロポップでいいのか。
(2017.11.24) (レビュアー:大島栄二)
 


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