さよならポエジー『二束三文』
鳥人間ズ『犬の歌』
スピッツ
『ヘビーメロウ』
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Syrup16g「タクシードライバーブラインドネス」って曲の歌詞に「ニュースは毎朝見る ところで思うんだが 占いのコーナーって あれ何?」ってはじまりがあって同意だなと思いながら、「~座の方、ごめんなさい。今日のラッキーアイテムは赤いものです。」みたいなアナウンサーの声がつい耳に入ってしまうと赤いものがつい気にもなってしまう。
ささやかだけれど、人それぞれに持つアンテナや感受性は違う。だからこそ、面白い。小さいことにくよくよするなよ、と言えるには小さいことで本当にくよくよしないとその先に行けないことがある。大きな夢を見ようよ、努力は報われるからそこに力を割いて、優先順位をつけて、みたいな言葉はまだあちこちで有効に通じながら、階段を昇り切った人が勝つ者の論理などを説いている。でも、勝つとか負けるって究極そういう問題じゃない。問題はどうそこに辿り着いたかの過程だ。
色んな人種の方々と主題として多様性と包摂について話していると、「日本人はジェントルでマメで、優しい。でも。」、その”でも”の後は、日本という枠にステロタイプに縛られ過ぎていないか、もっと日本を歴史軸に垂直に、相対化して見られたらいいのではないかな、と同工異曲に言われつつ、もう「日本という枠の括りもあるのかどうか」のエスニティさえ奇妙に思えている自身は“なんちゃってファンキー“な思想で今の日本のポリティカル・コレクトネスや異常なまでのパノプティコン型社会、と底が抜けていっている社会倫理を観ている。諦めているわけではなく、どちらかというと、極論では僕ではなく、君に「なりたい」。
朝の華やかな情報番組にどことなく似つかわしくないスピッツのこの「ヘビーメロウ」。曲調は軽やかながらも、フレーズの要所がもうこんがらがっていて、途中の三輪テツヤのギターソロまで、含み笑いの彼らの反骨精神が見えて心地良くなる。移り変わりの早いこのシーンのなかで30周年のアニバーサリーを迎えるというのに。
優しい被支配 痛みも同時に感じる
OKなカン違い 続けたらついに真実
なんて歌詞なんてもう今の日本の朝から生活を始める人たちへの強烈なイロニーにしか思えないが、それでも、どことなく始めてみたらいいよ、というか細い意思が音楽の中にこそ彼らは込める。彼らみたいな存在がまだ一線でしかも再評価され続けて、多くの人たちに認められる瀬に、迎える朝や朝日は悪くないと思う。弱くてもいいし、泣いてもいい。続ければどこかに行ける。どこかはどこかじゃなくてもいい。どこかがあなたにとって平穏であるように。
(2017.7.1)
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
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