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RETO
『部屋物語』

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 以前のレビューをTwitterが定期的にツイートしてて、そこで2年半ほど前のレビューをツイートしたところメンバーが反応してくれて。というか、そこで初めてレビューの存在を知ったらしいw。いやあアーチストと協力してリリースタイミングにレビューとかじゃなく、勝手に、まったく勝手にレビューしているmusiplなのでそういうことはよく起こります。でもこうして再び巡りあう邂逅のようなのは良いです。アーチストが自分で見つけてというのはいわゆるエゴサーチをしたり(全部のケースがそうじゃないけど)ということで、それはアーチストにとって大切なことだと思うわけです。その理由は長くなるので別の機会にするとして、そうやって気付いてくれてそこからまた(このレビューも)広がって、翌日にはデイリーのアクセスランキングに入りました。そういうのも嬉しいものです。というわけで僕も最近のRETOの曲をいくつか聴いて、驚いた。ええ、驚いたのです。とっても刺さる。刺さる。こういうの、今の僕にはとても刺さる。2年半前のレビューでは、「以前の曲では単にポップを指向するだけの曲を懸命に歌っていたようだが〜/聴いていると心の奥に傷をつけて去ってしまうような、そんな鋭さを感じてしまう」ということを書いていた。だが、どうだろうこのところの彼らの曲は。小山結衣の声にだけ耳が向かうのではなく、それはもうサウンドの一部のような印象で。そのサウンドが全体として70年代のテイストを持った2010年代後半の「今」のサウンドでありつつ、明るくも暗くもなく、淡々と意志を表明している。貧富格差も世代間格差も歴然と存在する今の社会に声無く存在する空気のようなもの、壁のようなもの、重しのようなものを背景に、それでもなお、求め過ぎない希望を求めている。それが、RETOというバンドの個々のメンバーの何かというものが最前面に出てくるのではなく、それぞれの個性がバンドという存在の中に溶け込むようにして、ひとつの意志に結実している。バンドとはメンバーによる偶然の組合せによるひとつの奇跡なのかもしれないということを思い出させてくれるようで、嬉しくなる。今回はこの曲を取り上げてはいるけれど、『生命のいろは』『君は僕のロックスター』などを含めた、いくつかの曲全体へのレビューという気分だし、いろいろと見聴きする価値あるし、音源も買って聴くといいよと言っておきたい。
(2017.6.3) (レビュアー:大島栄二)
 


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