赤い公園『恋と嘘』
!!! (Chk Chk Chk)『The One 2』
vivid undress
『ウララ』
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1つのバンドにいろいろな曲調があるのは当たり前のことで、だからこの1曲を聴いただけでバンドのカラーが変わったなどというのは早計だし的外れになるだろう。だが、その背景に自主レーベルで再スタートという言葉があると、これを再スタートの1曲として出してきたということと併せて特別な何かを感じずにはいられない。vivid undressというバンドがスピードの速いエレクトロ的な音色を多分に取り入れてリスナーを圧倒するようなスタイルの音楽をずっと発してきて、それにある程度のビジネス的バックアップも加わって少なからぬファンを獲得してきた。その音楽にスタイルに心を捕らえられたリスナーも多かっただろう。ある程度のファン層が形成されればそこから離れるのは得策ではない。ビジネスがそこそこの規模に膨れ上がり、好きでいてくれるファンの好きでいてくれるポイントを裏切らずに作品を発し続ける。それこそが音楽ビジネスだとして、ビジネスが成長する過程で芽吹いてきた違和感があったとしたら、アーチストはどうするのが正解なのだろうか。自主レーベルで再スタートというと純粋な動機だけだなんて思い込むのは単純すぎるし、ビジネスの主導権争いなども在って当然だし、だからすべての場合に純粋な動機のみを見つけたいとは思わないのだけれども、この1曲を聴いて、前作までとの違いの大きさを感じるし、そこには、たとえビジネスがダウングレードしようとも自分たちの気持ちに忠実に今は動くという、アーチスト自身の強い希望のようなものを僕は感じる。この曲はテンポも速いし、楽器構成などもそんなに違っているわけではないのに、なんかもう絶対的に違う印象を放っていて、興味深い。心情を外に出そうという意思を感じる。こういう曲調はともすれば曲自身の個性を打ち出していくことからは離れていくし、そうすれば飛びつくようにファンになってくれる人を失っていく傾向に向かっていくだろうと思う。それは彼らが今後伸び悩んでいく可能性でもある。だが、僕はこの曲の方が圧倒的に好きだし、もしこれが彼らの気持ちに忠実な作品なのだとすれば、その気持ちを強く打ち出していって欲しいなと願う。
(2017.5.16)
(レビュアー:大島栄二)
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