昨年に亡くなったプリンスに「Sometimes It Snows In April」という佳曲があり、非常に麗しい。この四月は時おり雪が降ったと思う。その雪で埋もれてしまえばいいほどの。悲しみの予兆やどうにも間違った側に向かいつつ、平穏という状態性を再確認できるほどの難渋な出来事が重なり、きっとこれまでで窮状の中で世界はやはり、ひとつになどなれずに多様性は排除されてゆくのかもしれない。死者を当たり前に観ることができるようになり、現場に居なくても、現場以上の悲しみで胸がいっぱいになってしまうような数々を前にせめて雪が降って一度、赤く染まった地を白く染めてくれないかものか、と願いもする。しかし、黒か白に極化されたままで、黒が正解でも白が正義でもないのが難しい。だからこそ急がずに考える。近く悼み、遠くを想う。