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John Mayer
『Still Feel Like Your Man』

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 USの文化人類学者のルース・ベネディクトは『菊と刀』という著書で実際に訪れる訳ではなく、交流内や想像力で日本を描いた。ブレは確かにあるのだが、いまだにこの書は色んな人たちに読まれ、解釈されつづけている。もう周知の方も多いだろうが、フラットに日本のMVを異国において動画サイトなどで見ようとすると、コード的に見られないことがある。勿論、裏技は幾らでもあるのだろうけど、あくまで当たり前のこととして。その“限定”された日本が肥大してゆくと昨今の京都のように「なる」。もう京都は元気な異国人か観光客か、という感じで見事にポスト・コロニアル化されている。でも、京都でも四条烏丸と亀岡、または大原などで全く違う。それは、京都という記号を辿れば、どこでもそうだろう。伏見稲荷がクールだっていうのはまったくもってフェイク・ニュースでもないものの、大体が案内を希望される。だから、時おり自身は京都を案内するときは露地ばかり行く。その露地から想像して欲しい何かがあるからだ。

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 世界的なアーティストの一人たるジョン・メイヤーの今回のMVを観ていると、見事にその感覚がフィットした。彼は日本通で知られていて、禅などにも詳しく、公演以外でも来日もしている。そして、数々のゴシップや自身の難事を越えてきて、壮年なりのいい表現をしてきているシンガーソングライターで、彼のギター・テクニックは、実際凄まじく、男前でジェントルさ滲み出ているが、このなかでは不思議で少しキュリアスなダンス(注:もう今の時代ではMVの少なくない中でダンスがある程度、アフォードされないと音楽が揺れず、模倣できないのもある)と、妙な和的解釈としての剣道、またはパンダ、フィクサー的な人が鎮座する”密室”の中での怪しげな雰囲気とエントロピーが適解を描いている。

 流麗でスムースな「Still Feel Like Your Man」。しかし、この映像の中では彼はそういったことより何だかファニーで想像力の意図的誤配を聴き手や世界中の膨大な受け手に試そうとしている感じがある。異国の方のZEN解釈がときに興味深いように、こういった世界的アーティストが投げかける問いは深い。何故ならば、短答ばかりが急がれる世の中だから、考える時間がせめて音楽が鳴っているあいだだけでもあっていいと思う。
(2017.4.17) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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