しんきろうのまち『エンドロール』 Next Plus SongTemples『Strange Or Be Forgotten』

グッバイセブンティーン
『Mr.X』

LINEで送る
 嬉しそうに笑って歌う。こんな最上の価値が他にあるだろうか。ボーカルの愛奈さんが終始笑ってる。微笑んでいる。それをワイシャツネクタイメガネの3人が取り囲んでいる。もしも彼らのライブを観に行ったなら、この微笑みをずっと眺めているだろう。だがそれだけで幸福な気分になるのは音楽の裏付けがあるからだ。3人の演奏には自分が自分がというところがほとんどない。多少ギターのリフが後半キュキュキュキュ〜っと、おいおいどこまで行くんかいと突っ込みたくなるような場面もあるにはあるが、基本的には各楽器が前に出ることはない。しかし、しかしだ、無駄がなくて、隙もない。必要不可欠であり、且つ十分な要素をしっかりと組み込んでいて、この曲はものすごいテンポをハッピーに替えることに成功している。1分05秒や2分30秒くらいからの8小節が息継ぎを許さないような構成になっていて(いや、4小節目で息はしてるけど)、そこを淡々と笑顔で歌い切り、ほんのわずかの隙に息を吸って次に移っていく。その遷移のところの息継ぎによるファルセットみたいな瞬間がとても好き。愛奈さんの歌い方は多少演歌っぽいこぶしが回る特徴があって、ともすればドスの利いた夜桜お七のようにもなりかねないところを(いや、なったらなったでそれは面白いとは思うけど)そうさせずにポップな仕上がりにさせているのは、言うまでもないことだけど、黙々と音を鳴らしているワイシャツネクタイメガネの3人の実力だ。まだ結成して半年だというから、まあスゴいな。今後の活躍が本当に期待される。誰も期待していなかったとしても、僕は期待したい。
(2017.4.11) (レビュアー:大島栄二)
 


  ARTIST INFOMATION →
             
 


 
 このレビューは、公開されている音源や映像を当サイトが独自に視聴し作成しているものです。アーチストの確認を受けているものではありませんので、予めご了承ください。万一アーチスト本人がご覧になり、表現などについて問題があると思われる場合は、当サイトインフォメーション宛てにメールをいただければ、修正及び削除など対応いたします。