東日本大震災から6年ほどの歳月が過ぎてきて風化のレベルじゃなく、多角的にシビアで冷酷な瀬になってきながら、閉塞感と予期不安が覆われながら、ミクロな面ではおはよう、ただいま、おかえりの何気なさのあいだでの形振りこそがとても大切になっている気がして、誰かにとって扉を開けたそこはなにひとつ保証のない明日があり、そこに対しておはよう、と挨拶した途端に巻き込まれてしまう災厄もあふれている。また、音信不通だった人の無言のただいまにはどうおかえりを云えばいいのか、考えてしまうことがこの数年はあった。だからこそ、もうどんな状況下でカオティックな憂慮が集積していったとしても、ただ、忘れないでいよう、諦めないでいようではなく、この曲の歌詞にあるような「Precious love will give this dream in your soul」の中でしっかり送り出し、出迎えができるようにいられたら、それでこの先に何が起きても、「おはよう」といえるのかもしれないと思いあらためられる気がする。遍在する夜明けに目覚める人、眠りに就く人、または決意を固める人たちそれぞれにとっての平穏な朝の光が届きますよう、たまには彼らの自在な音楽の中で軽快に心身を揺らしながら。