ビング・アンド・ルースの曲を聴くと、遠いようで、とても近くなった異国へのロマンティシズムが蘇る。不定形な楽団といえども、主として率いるカンザス出身のピアニスト、デーヴィッド・ムーアの感覚がそう思わせるのかもしれない。この曲も静かなアンビエント・ミュージックのようで、ミニマリスモの中でピアノの音色が印象深く刻まれて、さらに反復性の中に微妙なサウンドスケープの遷移が産まれながら続き、この曲が含まれたアルバム『No Home of the Mind』は、参加アーティストは五名と絞られ、一年という長いスパンの中での入念な細部への拘りとハンドメイドな意識の下で作られたという。MVもSébastien Crosの幻想美が十二分に活かされている。